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□短編集
求めていたもの?
今も僕は血まみれで戦場を歩く。
今も、戦場を?

目の前に草原が広がっていた。
ベタな世界だ。

僕はいきなり静寂に襲いかけられて眠気にまで襲われた。
夢うつつ、声が聞こえる。

「選びなさいとどまりなさい進みなさい」

??

僕は目を開けると、そこには、
透明な階段と
透明な廊下があった。

僕は迷いなく階段を昇った。

さっきと違う声が、
『戻りなさい』と叫び続けた。
また違う声が、
『上を選んでは駄目だ!』と叫び続けた。
様々な声が、頭に響く。
とどまれ!下だ!上だ!地獄だぞ!天国だ!ずるい!あいつは誰だ!なぜあそこまで行けた!そのまま走れ!

声が段々と遠くなる。
争っていたモノ達の叫び。
導きの叫び。


僕は…
沢山の人を殺した。
沢山の人が殺された。
父は殺された。
誰かの父を殺した。
母は無事だろうか。
妹は無事だろうか。
彼女は…無事…だろうか。
友は無事だろうか。
…国は…。
僕は耐えられなくなりうずくまった。

また叫び声を聞きたい。
彼等に友がいたかもしれない。

僕は沢山の人を殺した。







そして、僕は戦いから逃げ、死んだ。

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