[携帯モード] [URL送信]

panic game!
2
結局、俺の『肉を食べたい!』という希望を叶えさせ、帰りにハンバーグ屋さんで早い夕食を取った。その後車に1時間くらい揺られて久々に亜夕にぃの日本の家に帰ってきた。

俺がつい最近まで住んでいた場所だ。

少し古臭いが、立派で広い木造の家。木々に囲まれたその家は、虫やら鳥やらでいつも賑やかな音に包まれている。冬になると枝から雪の落ちる音が木霊するもんだから、小さい時はちょっとそれが怖かったりしたっけ。




「亜夕にぃもここに帰って来るの1年ぶりぐらい?」
「そうだな。おかげで庭の草が好き放題に伸びてる。そろそろ本気で庭師でも雇った方が良いか…」
「うっわ金持ちの発想ktkr」
「お前だってその金持ちの弟だろう」
「いやだから…弟って…うーん」
「照れんなよ」



その言葉に抵抗していると、楽しそうに笑いながら俺を敷地の中に促す。
庭は青々としていて、夏が始まるんだと知らせるには十分な色。学校にもたくさん木とか庭園の花とかあったけど、やっぱりここだと季節の変わり目を感じやすい。



「お前と一夏居られるなんて今から楽しみだな。何がしたい?行きたいところはあるか?」
「別に」
「お前は某女優か」
「それより仕事は?ないの?ついに干された?」
「何を言う。マネージャー脅して無理矢理休み取った。それに金の心配もする必要ないからな。これから先50年くらいは派手な生活しても全く困らないくらいの貯えがあるんだぞ。一月くらいの生活費なんて端た金だね」
「今全国の質素な生活を送ってる国民を敵に回したぞ」
「はいはい。それより、」



亜夕にぃは俺の頭にポンと手を置き、にっこりと顔を緩めると言葉を続けた。




「おかえり」
「…ただいま」

[*前へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!