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panic game!
2(side藤縞)
「ここの飲み物美味いんですよ。なんか焙煎に拘ってるとか、なんとか。」
「いやそんなのどうでも良いよ。」
「機嫌悪いっすね。」
「当たり前だろ!」



男二人が決して安くはないカフェにいる&新島先輩と俺がイケメン(どやぁ)なのも相まって、お客と店員からの視線が強い。
あまり注目は浴びたくないんだけどなぁ。特にこういう時は。



「で、なんで俺な訳?」
「生徒会室にお邪魔した時にも言いましたけど、新島先輩もハルの事好きですよね?だから話聞いてくれるかなって。仲間意識的な。」
「……待て待て待て。さっきも思ったけどな、俺がいつ曇を好きだと言った?」
「え、新歓のときにハルの事好きなのか聞いたら超動揺してたじゃないですか。バレバレっすよ。」
「くっそ……!マジかよ!」
「ふwwww」



まあハルは可愛いしな。特に笑った顔が。
新島先輩がオチたのも納得。まあオトすくらいの可愛いところを見せたのかと思うと嫉妬はするけど。



「で、さっそく相談なんすけど、」
「その前に、俺が曇の事が、その…、す、好きなのは絶っっっっっ対誰にも言うなよ。」
「うぃっす。」
「で?」


諦めたように頬杖をつく先輩に俺は話し始めた。


「ハルが、俺の知ってるハルと違くて。最近。なんつーか、中学の時は人に関わらないというか、誰にも頼らないような感じだったんすけど、高校生になってからそこら辺が柔らかくなったかなって。」
「ふーん?アイツがねぇ…。暗い雰囲気の曇とか全く想像できないな。」
「まあ今のハルはかなり明るくなってますからね。正確には中3終わりくらいから今の感じになったんですけど。」
「へぇ。」
「それでですね、今まで人と仲良くやってこなかったハルが、今になってクラスの奴らとかと上手くやってるのを見て、寂しいっつーか…俺の役目も終わりなのか?みたいな。」
「役目ってなんだよ。」
「えーと、言うなら『手助け』ですかね。」
「その手助けがもう要らないんじゃないかと思って落ち込んでんのか?親離れしただけだろ。」
「冷たいこと言わないで下さいよーー!(泣)」
「素直に喜んでやれよ。親離れしたんなら今度は友達になれば良いだろ。」
「友達以上、だとは思ってるんですけどねぇ。勝手にですけど。」
「ああん?どういう事だオイ。」
「あ、親友レベルくらいにはなってるんじゃないかなって意味です。」



やっべwww案外敵意むき出しなんだな先輩ww気をつけなくてはwww
コーヒーをすする先輩は、一息つくと話をまとめるように静かに話し出した。



「とりあえず今まで通り接してやれよ。アイツが人として成長してんなら良い事じゃねえか。」
「成長、してる?」
「そうだろ。単純に考えて。」



カチッと何かがはまったように感じた。
そっか。『変わった』んじゃなくて『成長』か。
なら、成長させたのは一体なんなのか。そこは謎だ。


「ふむ。さすが一つ年取ってるだけありますね先輩。納得しました。なるほどなるほど。」
「馬鹿にしてんだろ。」
「何を言いますか。感謝しかありません。その証拠にこれを…。」
「バナナ!!いらねぇよ!つーかそれどっから出した!?」


先輩と話してだいぶスッキリした。やはり溜め込まずに吐き出して良かった。
感謝もするが、だからこそ宣戦布告もしておかなくては。


「新島先輩、相談に乗ってくれて助かりましたけど、でも俺、ハルを渡す気はないですから。」
「…俺だって渡さねえよ負けるかっつーの。」
「じゃあライバルになりますね。」
「上等だ。」




***
その頃のハル。
「へっくしょいコンチキショー!んー本当に風邪でも引いたか?体調良くなって来たしテレビ見ようと思ったけどやめとくか。」

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あきゅろす。
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