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03




「日向ちゃんはしゃちょーがひっさびさにスカウトしたダイヤモンドだよ」
「……男にダイヤモンドって」
「リンリンはムカつくとか思ってるだろうけど、日向ちゃんみたら吹き飛ぶよ」
「どうだか」



幸は、ハングリー精神が足りない。のし上がろうなんてまるで考えてない。
でも俺は主役の地位を掴んだ男が憎いし、そいつが初主演というのも憎い。
扉が開く音。視線を遣ると、キラキラしたオーラを放つ男が入ってきた。



「日向ちゃーん!」
「幸ちゃん、はよっす」



吹っ飛んだ。憎いだとか、踏み台にするとか、負の感情が全て吹っ飛んだ。
明るい金髪の男は、幸に向かって緩く笑うと監督たちに挨拶しに行った。



「ね、吹っ飛ぶでしょ?」
「……うっせぇ、黙ってろ!」
「い、痛い! 弁慶さんは、反則!」



にやにや笑う幸にイライラして、臑に蹴りを入れる。
幸が本気で痛がっているけど、俺はちっとも悪くないうん。幸が悪い。



「お前、先輩なのにタメ語使われてっぞ」
「俺がそうしてって言ったから」
「……ふーん」



台本を握りしめる手に力が入り、役者が揃う前に台本はくしゃくしゃになった。






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