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「日向、つまらなそうですね」
「ミドリちゃん」



少しみんなから離れたところでひっそりと桜を楽しんでいるミドリちゃん。
桜を眺めるミドリちゃんの姿がなんだか切なくて、儚げでよく似合う。
桜が似合うだなんて男が言われても嬉しくないだろうけど、似合うのだ。



「あれ、通くんに蒼さんは」



蒼さん、その言葉を出すと少しだけ困ったような顔をして、すぐ戻る。
バレバレだぞミドリちゃん、そう思いながらミドリちゃんのとなりに座る。



「いつも一緒なわけではないですよ」
「でもミドリちゃんは蒼さんが好きだ」
「……かなわないですね日向には」



また困ったような顔をする。いつものミドリちゃんとは違うかわいい顔。
取り繕った大人のそれじゃなくて、恋を初めて知ったようなミドリちゃん。
この27歳、かわいいなあと少しだけ背伸びをして頭をぐりぐり撫で回す。



「……10歳以上下の日向に頭を撫で回される日が来るとは思いませんでしたよ」
「ミドリちゃんかわいいんだもん」
「……全くあなたって人は」



罪作りな人ですね、ミドリちゃんはそう言って穏やかな海のように笑った。






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