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04




「いやいや桃ちゃんは天然じゃないよ! あの子、確実にお馬鹿さんだよ!」



睫、長い。唇は薄くは、ないかも。というよりエロい。唇、エロい。



「幸ちゃん、人のこと言えない! なあ、凛! リーンリーン!」



ぼーっと見ていたら日向の顔が近づいてきた気がして、目を見開いた。
気がしたではなくて本当に日向の顔が間近にあって、思わず目を逸らした。
今の不自然すぎるかもしれない、そろりそろりと視線を上げると目が合った。



「凛、話聞いてなかったろ!」
「悪ィ、日向の阿呆面眺めてた」
「阿呆面は幸ちゃんだもーん」
「何ィ?!」



どうして思っていることを言葉にできないのだろう。自分で自分に驚く。
俺が眺めていたのは阿呆面なんかじゃなくて、きれいな日向の横顔だ。
肩が触れ合う距離にいるのに、俺と日向の心はちっとも触れ合わない。



「あ、ミドリちゃんがみんなで花見行こうって言ってた!」



そう思った瞬間、花咲くように日向が笑った。男なのに、周りに花が咲く。
不思議なヤロー、そう思って笑うと日向が俺を見て優しく笑んだ。気がした。
今、きっと心が触れ合っている。照れくさくて目を反らすと幸が手を上げた。






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