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03




「リンリン! 邪魔すんなしー!」



ジョッキ――俺の唇と幸ちゃんの唇の間にジョッキが割り込んできたのだ。
割り込ませたのは、黒田さん。眉間に皺を寄せて、どこか不機嫌な様子で。
如何にもこういう悪ノリが嫌いそう。不愉快だったのかもしれない。



「……未成年に絡むなよ」



この人、悪い人じゃない。むしろ不器用だけど根は良い人の典型だ。
幸ちゃんは俺の肩に頭を乗せる。ますます黒田さんの眉間に皺が寄った。



「別にいーじゃーんか! 日向ちゃんはー別にー嫌じゃねーだろ?」
「まあ、いつものことだし。黒田さん、この人酔うと見境ないんですよ」



いつもいつも俺の部屋で飲んだくれて絡むんです。そう言って、笑った。
だけど、黒田さんは笑わなかった。むしろ眉間の皺が増すばかり。
あれ、俺、なにか言ったのか。
そう思うより早く、黒田さんは幸ちゃんの胸ぐらを掴み、にっこり笑った。
だけどそれは嬉しさを表す笑みではなくて、戦闘開始の合図だった。






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