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捕食者と優雅なる憂鬱02
憂鬱01続編



それがいつだったのか、何の話をしていたのか、僕には思い出せない
そんな些細な、ふとした瞬間だ。大蛇丸様が「お前なら安心ね」と呟いたのは

「……はい?」
「ああ…いえ、違うわね
 "安全ね"の方が正しいわ」
「…?」
「お前は腕が立つし頭も冴えてるわ。教え方も上手いようだし、これといった欠点も無いわね」
「はあ、ありがとうございます」

教え方? 一瞬何の事か分からなかった
しかし、そういえば彼女に勉強やら忍術やら体術を教えていたっけな、と思い出した
それはもう日常の動作になっていて、特別目を向けるようなものではなかった
つい気の抜けた返事をしてしまったが、大蛇丸様は別段気にした様子は無い

「でもねぇ、恋人には欲しくないわね」
「…は?」
「だって貴方、つまらないもの
 どんなに懐かれて好かれても、精々"いい保護者"止まりだわ」

絶句した。その自覚があったからだ
もし忍でなかったら、平凡な生活を送る平凡な人間だっただろうなと想像していた
夢も目標も使命も無い、ただぼんやりとした面白実のない自分と、その人生を
そんな自分の隣に誰か寄り添うなんて事は有り得ないだろう、とも思っていた
──そして確かに以前、彼女に「カブトさん、お兄ちゃんみたい」と言われた事があった

「恋に落ちるなんて有りっこないって事よ
 だから、"安全"なの。アンパイなのよ」

"お兄ちゃんみたい"
その時は素直に喜んだ。が──ああ、そう云う意味だったのか
彼女がそのつもりで言ったのではないとしても、しかし突き詰めればそう云う事なのだろう
彼女の事と僕の男としての魅力の無さについて、珍しく上機嫌で話す大蛇丸様の傍らで、僕は静かに溜め息を吐いた



09/07/12

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あきゅろす。
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