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誘い
『はい、どうぞ〜』

加奈は紅茶とクッキーの入った可愛い小さなバスケットをテーブルに置いて言った。

『ありがとうございます…それじゃ遠慮なくいただきます…』

私はクマを型どったクッキーを手に取ると一口食べてみた。

『美味しい〜加奈さんって美人なだけじゃ無くてお菓子作りも上手なんですね!?』

正直な気持ちを口にする。

『美人は余計だけど、お菓子作りには自信があるのよ(笑)』

『今度、クッキーの作り方教えて下さい。』

『いいわよ(笑)』

それから加奈は色々世間話をしてくるけど、世間の事は余り知らない私は聞き手に廻るしかなかった。

『ところで理佳さんって若いわよね…何歳なの?』

『…19歳です…』

隠す必要も無いと思い私は本当の年齢を言った。

『若いわね〜!?私の半分…娘と4歳しか違わないのに主婦なんて偉いわ〜』

『えっ!?加奈さんって38歳……あっ、ごめんなさい…でも、全然そんな年には見えないです…』

加奈に15歳の娘が居る事も驚きだけど38歳と言う事には更に驚いた。

(27〜28歳にしか見えない……どうしたらこんなに若く居られるのかな…)

不思議そうな目で加奈を見ていると…

『週に3回は、フィットネスクラブに通ってるから(笑)そうだ!?理佳さんも今度一緒にどう?』

加奈は目を輝かせて私に言う。

『いえ、私は……』

生活費以外は旦那様から貰って無い私にはフィットネスクラブの様にお金のかかる場所へ通える訳が無かった。

『体験入学もあるから一度一緒に行きましょうよ!?』

加奈は次々にフィットネスクラブの良い所を私に熱心に話してくれる。
お金が無いのもそうだけど、そんな贅沢な場所に行くこと事態が私には不安だった。

『明日行きましょう!いいでしょ理佳さん!?』

『でも……私…スエットとか持ってませんし…』

ご主人様と結婚した時に、今まで持っていた服は全部捨てられスエット等もその中に入っていた。

『そんなの私のを貸して上げるわよ!だから絶対だからね!!』

加奈の強い口調に私は男達と同じ様な恐怖を感じると…

『はい…わかりました…』

無意識のうちにそう言っていた。

『良かったわ〜近所にこんなに可愛くて気の合う主婦仲が出来て(笑)』

私には、強引に加奈が決めたとしか思えなかった。

『でも、フィットネスクラブに行く事は誰にも言わないで下さい…とくに夫には…』

(フィットネスクラブにたとえ体験入学でも行ったなんてご主人様に知れた…)

誠にどんな仕打ちをされるかと思うと私は肌を粟立てた。 

-ウラコイ×


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