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夏色の想ひ出
裏切りの代償B
由美と武志に許されたかっこうの信二だったが、釈然としない気持ちを抱えていた。

信二「なあ宣子…」

宣子「なあに?気にするなと言うには無理があるけれど、気にしすぎるのは精神衛生上よくないわよ」

信二「ああ…そうだな」

宣子は赤子にお乳を含ませるように、信二の頭を胸に押し付けた。

宣子「あなた、今度のお休みに顔を出しましょ?あの武志さんならあなたの相談に乗ってくれると思うわ」

刑事の非番は日曜日とは限っていない。
平日の昼前に足立家に着いた信二と宣子と晃。

由美と武志は三人を海水浴場に連れていった。

由美と宣子は波打ち際であゆみと晃を遊ばせていた。

信二「足立さん、俺は…」

武志「もういいじゃありませんか、由美さんがそうすると決めた事ですから」

信二「でもそれじゃ足立さんに申し訳なくて…」

武志「晃くんもあゆみも楽しそうですよ、俺たちも泳ぎに行きましょうよ」

武志は一足早く駆け寄りあゆみと晃を次々と放り投げた。

由美「武志さん、わたしたちもお願い…」

武志「無理ですよ、腰が砕けてしまいます」

由美「まあ、ひどい…宣子さんいくわよ」

宣子「はい…」

由美と宣子は二人がかりで武志を海に沈めた。

そこへ信二がやってきたが武志同様に二人に沈められた。

四人の大人と二人の子どもは少年少女のように、水を掛け合ったり砂を掛け合ったりして夏の一日を満喫した。

陽子「いいなあ、陽子も海水浴行きたいよ〜」

部活から帰ってきた陽子が口を尖らせていた。

武志「じゃあ、夕飯の仕度は由美さんにお願いしますか」

陽子「ほんと?すぐ着替えて来るね」

親バカと言われそうだが、陽子を思う武志の愛情には誰も立ち入れないものだ。

陽子「パパ、ありがとう、早く行こ」

陽子は武志の腕にしがみついて、武志を独り占めできる喜びと共に海水浴場に急いだ。

部活で疲れているはずだったが、温(ぬる)めの海水が陽子の体をやさしく包みこむと若さが蘇ってきた。

夕陽が沈みきる前のわずかな時間、赤みを帯びる海面を優雅に泳ぐ武志と陽子。
まるでイルカの親子が泳いでいるようだった。

由美「もう、陽子はパパを独り占めして…ずるい!」

陽子「妬かない妬かない!うふふ」

子どもの笑顔に勝る幸せはないというが、まさにその通りだった。

その夜、信二と宣子と晃は一泊する事になった。

陽子はあゆみと晃の面倒を見ながらいつしか眠っていた。

信二「足立さん、お願いできますか?」

信二は由美を犯した罪を償うために、武志に宣子を抱いて欲しいと申し出たのだ。

それは宣子も承知していた事だったが、果たして武志と由美が承諾するのか。
というか、とうに承知していたのだ。

由美「武志さん、それが大脇さんたちが出した結論ならわたしは構わないわ。でもその間、信二さんがわたしを抱いてくださるならね」

武志「そうですね、指を咥えて見ているのも辛いでしょうからね」

なんという夫婦だろう…。
と思うが、スワッピングだと思えば何の事はないのだ。

という訳で、武志は宣子を抱いて、由美は信二に抱いてもらった。

隣同士でお互いのパートナーの乱れる姿に刺激されながらのセックスは、至上の喜びを宣子と信二にもたらした。

宣子「武志さん、由美さん、ありがとうございました…」

由美「いいのよ、わたしも信二さんとの浮気を締め括れましたから」

信二「足立さん、とんだお願いをしてしまって申し訳ありませんでした」

武志「これでお二人が吹っ切れたなら何よりです」

翌朝、信二と宣子は清々しい顔で帰っていった。

その後、宣子は信二に放っておかれる事もなく、セックスライフを満喫すると共に第二子を授かる事になるのだ。

続く

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