[携帯モード] [URL送信]

夏色の想ひ出
グリセードB
智子は、自分を大事にするからと言ってくれた健太の気持ちが嬉しかった。

小学五年生の時、無理やりキスをしようとした健太。
その後、性器を擦りつけてパンツを汚した健太。
その時、妊娠するかもと心配した智子。

中学生になって他の女の子と仲良く話す健太に嫉妬した智子と、男の子と話す智子に嫉妬した健太。
17歳の誕生日に結ばれた智子と健太。

その度に武志と由美に救われてきた智子と健太。

いろんな場面が思い出された智子は、クスッと笑った。

知ってか知らずか、健太は智子のおでこを押した。

智子「健太、私、幸せだよ」

心からそう思った。

健太「オレもだよ」

この先、この二人がどうなるかは運命のみぞ知るだが、今を生きる二人には最高の思い出となるだろう。

智子「亜紀さんたちも上手くやってるかしら…」

健太「大丈夫だろ、昔の和也には戻らないだろうし、亜紀さんが歯止めを掛けてるさ」

智子「そうね…」

初恋は実らないとか成就しないとか言われるが、智子と健太を見ているとそれは心変わりを正当化しようとする輩の戯言かと思えた。

智子「健太…この子たちってまだ生きているんだよね?」

智子はコンドームの中の精子を見つめて呟いた。

健太「まあ、そうだけど…でも、智子の膣(なか)で生きていたら困るだろ?」

健太は一瞬戸惑ったが、妊娠の心配を智子に訴えた。

智子「わかってる…わかってるけれど、ちょっとの間でも生かしてやりたかったの…」

健太「智子、ありがとな…」

智子「うん…」

健太は精子にまで愛情を注いでくれる智子を抱きしめた。

智子「健太、私、夕陽が見たい…」

部屋からも見えない訳じゃなかったが、二人は海岸に降りた。

健太「智子…」

自然というか当たり前というか、智子の肩を引き寄せた。

智子「健太…」

智子も自然と健太の肩にもたれ掛かった。

部屋から見るより雄大な夕陽が二人を照らしていた。

智子「健太、今度はコンドームなしでやろ…やっぱりあの子たちが可哀想だもん」

智子は安全日とか危険日とかの妊娠するメカニズムは知っていたが、失敗したらという不安はあった。

健太「ありがとな、でも智子に心配させる訳にはいかないよ」

智子「ちゃんと調べて絶対大丈夫って時でも?私、ちゃんと調べるからいいでしょ?」

セックス好きの生中出し願望のエロ女とは違い、命の尊さを知っている智子の素直な気持ちだった。

健太「ばかだな智子は…そんな事しなくても、オレは智子を嫌いになんかならないよ」

智子「健太……」

滲む涙を健太の肩で拭った。

健太は「泣くなよ」とおどけながら頬を伝う涙を吸いとった。

智子「健太、ありがとう…こんなに愛されて、私、幸せだよ」

健太「幸せなのはオレの方だよ!嫌な顔しないでオレを包んでくれたんだからな」

智子「うん…健太が入ってきてくれて幸せって気分になっちゃったの…次はコンドームなしで…」

健太「どうしたんだよ?まさか、赤ちゃんが欲しいとか言わないよな?」

智子「健太との赤ちゃんなら欲しいわよ♪」

健太「智子がそう思ってくれるのは嬉しいけど、親父さんにぶっ殺されるよ」

智子「あはは、そうだよね♪今でも傷物にしやがってって殴り殺されるかも」

健太「だろ!凶暴すぎるからな、智子の親父さん…あっ、ごめん」

智子「ううん、いいの…でも普段はやさしいんだけどね」

健太「ああ、オレも可愛がってもらってるからな」

智子「そうだよ、健太が娘を傷物にするなんて思ってないからね」

健太「あはは、期待を裏切ったのかオレは…」

智子「その時は私も一緒にぶん殴られてやるわよ♪」

健太「それもなんだかなあ…まあ、バレないようにだけはしないとな」

智子「うん、ひみつのアッコちゃんだね、うししっ」

健太「なんだよ、嫌な笑い方して…」

智子「なんだかさあ、親に秘密にするって悪い子なんだろうけど、大人になったかなって思ったの」

健太「セックスをしたからそう思うのかな?そうでもない気がするけどな」

智子「じゃあ、健太はどう思うの?」

健太「オレは、智子と恋もしてみたいしセックスもしてみたいと思ってた…でも、ほんとの恋ってなんだろうって考えているうちにセックスが先になっちゃって…ほんと、ごめんな」

智子「だから謝らないでって言ってるでしょ。私だってほんとの恋なんて知らないけれど、小さい時からずっと一緒だったから健太が好きって気持ちはあったよ」

健太「オレだって智子が好きだよ。それが恋とか愛とか言うのかな…」

智子「じゃないかな?ほんとは私たち、恋もセックスも早すぎたのかな…」

健太「なんだよ、今度は後悔かよ?」

智子「後悔はしてないわ、健太に捧げた事は嬉しいわ。ただ、もっともっと健太を好きになりたいって思っただけ」

健太「好きになって、じゃなくて好きになりたいか…」

智子「健太だってそう思っているでしょ?だから私を大切にしたいんじゃないの?」

健太「そうかもな」

恋に恋する青春を目の前にしてセックスが先走った感のある二人だったが、本当の恋を見つける事はできるだろう。


続く

[*前へ][次へ#]

10/19ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!