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夏色の想ひ出
罪の連鎖A
それから二年もの間、亜紀は友行の捌け口にされ続け援交に明け暮れる日々を過ごしていた。
本来なら和也と一緒に真新しい高校の制服をまとい心を踊らせていてもおかしくない頃だったが。

もう、何人の男と寝たかなんてわからなかった。

体中痣だらけの亜紀の秘処はもう、15、6歳の女の子の秘処ではなかった。

そんなある日…

武志「お姉さん、その体、いくら払えば譲ってくれるんだい?」

白いスーツにサングラスをかけた武志が、亜紀の背後から声を掛けた。

亜紀にはその男が武志だとはわからなかった。

武志「俺のシマで好き勝手しやがってよ、とんでもねえアバズレだぜ!ちょっと来てもらおうか」

手首を掴まれ引きずられた。

その男をヤクザだと思った亜紀は、途端に体がガタガタ震えてきた。

由美「やめなさいよ、武志さん!怖がらせに来たんじゃないでしょ!」

見覚えのある顔だった。

由美「こんなにすすけちゃって…いらっしゃい!」

今度は由美に手を掴まれて引きずられた。

由美「乗りなさい!」

黒いワンボックスの後部座席に押し込められた。
ガラスには黒いフィルムが貼られていて、外からは見えないようになっていた。

一緒に乗り込んだ由美に顔を拭かれはじめると、車は高速に入っていった。

亜紀「あ、あの…どこへ…」

由美「黙ってわたしたちと一緒に来ればいいの!」

亜紀「で、でも…パパが…」

由美「今さら心配しても仕方ないでしょ、後少し遅れていたら死んでたそうよ!心配しないで、ちゃんと病院に入れたから。それにしてもよくまあ、これだけ汚したものね…さっさと全部脱ぎなさい!」

由美は運転席との間のカーテンを引いて、亜紀に服を脱がさせた。

由美「後で洗ってあげるけれど、とりあえず拭くからね」

ブラジャーもパンティーも脱がされた亜紀は、何枚ものタオルで髪の毛からつま先まで拭かれた。

由美「とりあえず被ってなさい」

体を拭いたタオルと脱いだ衣服をポリ袋に入れて、亜紀を大きめのバスタオルでくるんだ。

亜紀「あの…どうして?」

由美「どうして?甘ったれるんじゃないわよ!」

由美の平手打ちが亜紀の頬に飛んだ。

由美「勝手にいなくなって…みんながどれだけ心配していると思ってるの!バカ!」

もう一発食らわせていた。

武志「由美さん、顔が腫れてしまいますよ」

由美「構わないわよ、こんな人の気持ちを踏みにじる娘なんて…バカバカバカ…」

由美は亜紀の頭を叩きながら泣き出していた。

足立家に着くと、懐かしさに浸る間もなくシャワーを浴びせられた。

風呂上がりに保湿クリームのような物を全身に塗られて、秘処と乳首には別のクリームを塗られた。

白い下着にエンジの作務衣を着せられて、お寺に連れて行かれた。

由美「今日からここで生活してもらいます」

有無を言わさない由美は、亜紀が知っている優しい由美ではなかった。

亜紀「ここで?」

由美は何も答えてくれなかった。

由美「朝五時に起きて本堂と廊下の雑巾掛けをしなさい。
その後、境内の掃き掃除をしなさい!それが終わってからご飯にします。
ご飯を食べたら、午前中は本堂で仏様と向き合いなさい。
正座はしなくてもいいですが横にならないように!午後からは自由にして構わないけれど、このお寺から出ない事!いいわね?
それから着替えはここ、下着はここ、生理用品とタオルはここ、シーツと下着は毎日替えること…それと、パットは必ず付けておく事!
脱いだ物とタオルとシーツは篭に入れておくこと、洗濯はこっちでやるから。
パットはこのゴミ箱に入れておいて頂戴。わかった?」

亜紀「は、はい…」

由美は、一方的に説明すると住職に深々と頭を下げて帰って行った。
訳のわからない亜紀は立ち尽くすだけだった。

何が何だかわからないまま布団を敷いて横になった。

酒臭い父親もいなければ生臭い精液の匂いもしない布団に安堵していたが、テレビも携帯もないので寝るしかなかった。

翌朝、やっとの思いで起きたが五時を過ぎていた。

あわてて本堂に行くと、住職が朝のお勤めをしていた。

読経を聞きながら雑巾がけを始めたが、五分もしないうちに音をあげた。

住職「言われて気づく愚か者に、言われて気づかぬ馬鹿者じゃよ、ほっほっほっ」

お勤めを終えた住職は、そう言って本堂を後にした。

本堂の雑巾掛けに一時間以上もかかった。
境内の掃き掃除が終わる頃には、作務衣が重いと感じるほど汗だくだった。

どこからともなく現れた由美に、シャワーで流してもらった。

そしてクリームを塗られた。

食事は部屋で摂った。

自分一人しかいない本堂は重苦しいほど静かだった。

一時間二時間、ただ、ご本尊を見つめていた。

住職「足は崩されて結構ですぞ、ですが決して横にはならないようにな」

背後から、不意に住職が声を掛けてきた。

亜紀「は、はい…あの…」

作務衣の襟を直してから正座になった。

住職「なんじゃな?」

住職はご本尊を避けるように亜紀の斜め前に立った。

亜紀「あの…私、どうなるんですか?何故、こんな事をさせられるんですか?」

住職「ほっほっほっ、あんたに愚か者になってほしくないんじゃろ」

亜紀「愚か者?」

住職「言われて気づくは愚か者じゃよ、邪魔をしたな」

亜紀は住職が居なくなると、また本尊を見つめはじめた。

亜紀(言われて気づくは愚か者…愚か者になってほしくない?)

考えてもわかるはずもなかった。

午後からは自由にしてもいいと言われたが、何もする事がないので境内や建物の周りをぶらついた。

住居の脇で洗濯をする由美を見掛けた。
声を掛けようとしたが、近寄り難い雰囲気だった。

よく見ると自分の脱いだ作務衣や下着を手洗いしていた。

夕方になるとお風呂に入れられて、全身をくまなく洗われてクリームを塗られたが、由美はおやすみも言わずに帰っていった。

お寺に押し込められた生活も二週間になった。
雑巾がけも慣れてきたがどこか投げやりだった。

住職「ほっほっ、いまだお気づきにならぬとみえるの」

いつものようにご本尊と向き合っていると、住職が近づいてきて声を掛けられた。

亜紀「は、はい…私が、何故ここにいるのかもわかりません…何ひとつ、わからないんです」

亜紀は今の心境をありのままに話した。

住職「ほっほっ、そうでもないじゃろう?父親の事も母親の事も思っておったのではないのかの?自分の事も、それからなんと言ったかな…男の子の事も考えておったのではないのかのお。
そこから何があるのかを考えてみるのもよかろうて、人は一人では生きられぬものじゃからの」

亜紀「あ、あの…」

住職はいつものように言うだけ言うと姿を消した。

由美「ご住職さま、ありがとうございます」

本堂に通じる廊下で由美は住職に頭を下げた。

住職「いやいや、しかし、由美さんも過酷な事をさせおるの…言われる前に気づくのはわしでも無理な事じゃよ」

由美「わたしもできませんけれどもね…でも、そういう心構えになってほしいですわ」

由美が何を思っての事なのかわからないまま、亜紀は午後も本尊と向き合うようになっていた。


続く

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