Menu:Lunch 〜混合〜
つられそうだと
私達はこうして卒業するまで仲良く図書委員としてやってきたわけだが、赤也君が立海に入学してまさか再会できるとは私も、赤也君も夢にも思っていなかった。
「ちーっす」
『うわっ!!』
急に部室のドアが開くから驚いてしまった。
「おっと、さよ先輩いたんすか」
『いましたよ、おかげで凄く驚かされました』
相変わらず後ろ弱いんっすね、なんていいながら私の前にあるパイプいすに腰掛けた。
「でも今日は委員会の日じゃないんすか?」
『今日は偶然、ない日だったんよ』
「へぇ、珍しいっすね」
『・・・練習しないのかい?』
普段なら部室に来てすぐランニングに行くのに、今日はへんだなぁ。
「いや、その・・・なんつーか」
なんかもじもじしてる。
手洗いか。
『お手洗いはテニスコートのすぐ側だよ』
「違いますよっ!!」
赤也君が大声を出す。
あれ、なにこのデジャブ感。
「・・・・・・」
『ふざけてごめんねぇ。どうしたの』
「・・・と思って」
あ、やっぱり。
なんか前にもやったよこれ。
『ごめん、もう一度行ってくれないかい』
「だから・・・さよさんと「『もっとしゃべりたいな』」
『って思ったのかい?』
ちょっと赤也君の目が開いた。
「・・・ははっ。
このやりとり、前にもしましたね」
『お、憶えてくれていたのかい』
「あたりまえっすよ。
おかげでハリポタ全部買い揃えたら逆に母ちゃんに気持ち悪がられましたもん」
『あれ、買ったんだね』
「おかげで金が凄く飛びましたけど」
『ふふ、だろうねぇ』
「でも俺あれ以来、ちょっとずつですけど小説に手を出してるんすよ」
『え! そうなの!?』
「・・・さよ先輩のおかげっす。
きっと先輩に教えてもらってなきゃ、一生活字読みませんでしたよ」
『そんな、大げさな』
「でも、本当に俺本嫌いだったんすけど、さよのおかげで読めるようになったっていうか・・・」
またもじもじしてる。
可愛いなぁ。
『お手洗いはテニスコートのすぐ側だよ』
「・・・もうそのネタやめません?」
『すまんね、可愛い孫を見ているとついいじめたくなってしまうんよ』
「だれが孫ですか! もうっ・・・」
あら、すねたかもしれない。
『ご、ごめん。
そうそう、なんであのとき私をペアにしてくれたの?』
ずっと思ってた疑問をなげかける。
「あぁ、あれはですね。
自己紹介のときに面白いひとだなって思って、この人なら別に先輩面とかしなさそうだなーって思ったんす」
『そ、そうだったんだ・・・』
なんだ、まぁそうか。
怖い人、とか思われてなかったんだからいっか。
「先輩」
『ん?』
「今度、また面白い本教えてくださいよ?」
『もちろん、赤也君も面白い漫画教えてね』
「はいっ」
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