Menu:Lunch 〜混合〜
てんやわんやドルチェ
入学式から数日後。
部活動勧誘がさらに活発になった。
朝、蓮二君と歩いていると野球部の勧誘に遭い、昼休みはチアリーダー部の先輩が校庭でアクロバティックな演出をしたあとに声かけ、
しまいには5時限目と6時限目の間の時間にまで一年の教室に来て吹奏楽部が楽器を持って勧誘しにくる始末。
どんだけ部活に力注ぎまくっているんだ。
逆にひくわっ!
「さよ、部活は決まったか?」
隣でかばんに教科書を詰め込みながら蓮二君が言った。
『いいや。
というか、はいらないかもしれないわねぇ』
「そうか、女子テニス部はどうだ? 」
『経験もないのにできるわけないよ。
それに私、前は文化部だったから運動全然できないよ』
「そうなのか。それは残念だ」
そういうと、また明日なと教室から出て行った。
きっとテニス部のコートへいったんだろうねぇ。
クラスで少しぼーっとしていると腕を引かれた。
『痛っ! 』
「お前ならよさそうだな」
『や、やめてください・・・! 』
私より身長が高い男の人。
私、なんかしたかな!?
怖いよぉお!
「お前、こっちにこい! 」
そういって引きずられる。
くるとき影で「可哀想に」と声がきこえた。
可哀想と思うなら助けてください先輩。
必死の抵抗もむなしく連れてこられたのは、立派な部室。
「部長、連れてきました」
「おつかれ」
部長さんは笑った。
中に入るとテニスラケットやそのラケットを入れるバッグ、テニスボールにロッカーとテニス部感満載だった。
部屋にいるのは部長さん、さっき私を連れてきた人、他二人、そして私だった。
「そんな怖い顔するなよ」
部長さんははなで笑った。
「あ、大樹。説明したか? 」
「・・・あ」
「はぁ・・・お前な、だからこんな怖い顔するんだろうが」
さっきの男の人は大樹先輩というらしい。
「すまないな、怖がらせた」
いえ、今も怖いです。
「説明する。
まず、俺は立海テニス部部長の佐藤。
宜しく」
『は、はい・・・』
「でさ、お前立海大テニス部のマネージャーになれ」
・・・あれ、今なんとおっしゃった。
マネージャーになる? この私が?
「急にすまんな。
立海大テニス部ルールってのがあるんだが、俺ら立海大テニス部はマネージャーを強制決定できる力をもってんだ」
『きょ、強制決定ですか・・・』
「おう。実は昔、マネージャーの人数が部員を超えるって言う異常事態が起きてな。
しかもマネの大半はレギュラーのファンだったから好きなレギュラー以外には全然仕事しねーの。
んで、しまいにはマネ同士で喧嘩するわなんやらで、すげーんだわこれが」
まるで昔を懐かしむような目で見た。
「そこで今後このようなことが起こらないように、俺らテニス部員がマネによさそうな奴らをつれてきて仕事させるってことにしたわけだ。
そんでお前が記念すべき一人目のマネだ」
指をさされる。
人を指差しちゃいけませんってママにいわれなかったのかねぇ。
「ちなみに、マネは一人だけにするからお前以外マネはいないぞ。宜しくな」
『え、えぇ!!? 』
よろしくないよ!!
何だこの展開は!
『あ、あの、私マネージメントやったことなくて、そもそもテニスのルールも分からないんですけど・・・』
「俺ら立海大テニス部は毎日朝練が7時30分からある。
おまけに部活はほぼ毎日だ。
その中で暮らしていけば次第に、イヤでも覚えるようになるんじゃないか?」
にやっと笑う。
その後、テニス部部長直筆入部届けを渡され、帰ることとなった。
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