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曹田操興信所
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「もし、そこの」

いつも通り定時に通勤路を行く芝井は、みなれない占い師風の露店主に声を掛けられ、反射的に足を止めてしまった。古今東西道端で知らない人間から声を掛けられるなんて、ロクな事が起こらないのを知っていたのだが。

「おや、私に何か御用ですか」

「何か、だと?貴様が声を掛けたのであろう」

「私はそこの、と言ったまでで。貴方が自分だと思われたのは何か私に御用があるからでは?とお聞きしている次第ですよ」

「…くだらん」

再度歩を進め歩き出したのだが、その白い着物の男の呟くように言い放った言葉は嫌でも耳に入ってしまった。


そんな格好も
似合いますね


朝から気分が悪くなりそうだ。

「おはようございます」

事務所につけば、ソファから足がはみ出してはいるが大鼾の夏目と

「ぐう」

デスクの周りが散らかしっぱなしの曹田

「おう」

いつもの事ながら肩を落としつつも、自分の諸事務を始めた。特に何も言わないのは特に困ることがないからで、抱えてる一件もないからである。
自分のデスクについて勝手に小さい案件の調査を進めるうちに、朝の出来事も忘れて昼を過ぎた。


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