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曹田操興信所
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「惇のやつ、いつも外で元気よな…子供は風の子と言うしなぁ」

いつもどこからかコアな情報を仕入れてくるのだから、相当歩き回っているか顔が広いのだろう。そしてその日はいつもはインドア派の芝井も外へ出るらしく、寒さ対策よろしくマフラーをぐるぐる巻きだした。

「なんだ、お前も出るのか」

「美女探し、も一理あるかもしれませんが。所長は袁藤紹一とは幼なじみでは?」

「…だったらどうした」

少し声が低くなってしまったのは、曹田自身が際どい所を突かれたからかもしれない。

「いえ、情にほだされる方だとは思いませんでしたので。では」

返ってくる言葉も待たないうちに古くなった木扉をガタガタいわせて出ていった。
後に残された曹田は一人、自分の指定席に腰掛けて煙草に火を付け煙を悠々と吐き出す。

「ふう、情か」

おもむろに手に取ったリモコンでテレビを付けると、CMに入った番組の提供には“袁藤商事”の字がやたら目に付いた。









―数日後―
「半年前に行なわれた某ホテルでの袁藤グループ20周年記念パーティだ。えー…袁藤の御曹司の隣。ここだ」


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