[携帯モード] [URL送信]

援交JKがまさかの…
本との出会い
携帯小説グランプリ
「うわ〜、ありがとう」
と唯は3万円を手にし、満面の笑みでお礼を言った

「いいんだよ。僕も楽しませてもらったし…」
と言うのは、自称中学教師の萩原

二人は人気のSNSサイト「フェイスノート」を通じて知り合った

「じゃあ僕はここで。またお金に困ったら連絡して」
と言うと萩原はラブホテルの出口を出て、足早に去っていった

唯も最寄りの駅に向かう

電車までにはまだ時間があるので、唯は駅構内の書店で立ち読みすることにした

ファッション雑誌を見ようと思ったが、どれも先日見たものばかりだ

そこでマンガのコーナーに移動する

が、途中で「ドラッカー」の文字が目に入った

これが話題の「もしドラ」か…

「もしドラ」とは女子高生の野球部マネージャーが、もしドラッカーのマネジメントを読んだらどうなるかという物語だ

唯は本を手に取る

そしてパラパラっとめくったが、そんなことをしているうちに、もう電車の時間がきてしまった

唯はお金を手にしたこともあり、その本を持ってレジに行った

「カバーはお付け致しましょうか?」
と店員さん

「いいえ、いいです」
と唯は言うと料金を払い、本をバッグにしまってホームに急いだ

そこまで興味がある本ではないため、電車の中で開くこともなかった

そして夜、寝る前くらいになってようやく本のことを思い出す

バッグから本を引っ張り出して見てみると、なんと「もしドラ」ではない

ドラッカーの言葉を元にした、日本人のマーケティングの専門家が書いた本だったのだ

「あれっ、何か違うし…」
と唯もこの程度だ

そしてページを開いてみる

「事業の目的は、顧客の創造である」

顧客の創造って何だろう…

新規顧客の開拓?

リピーターを作る?

それともその両方か…

さっきの萩原さんをリピーターにするには…

こまめなメールのやりとり?

で、たまに魅惑的な写メで釣る?

そんなところかな…

新規顧客の開拓でいえば、フェイスノートで新たな顧客の確保

大抵援交で捕まるのは教師か公務員が多いから、プロフィールを見てその辺りに友達のリクエストを送るか…

って、こんなことしていられない

唯は急いで携帯を取りだし、フェイスノートで新規顧客になりそうな人を探す

そしてプロフィールを見て、同県の教師や公務員に片っ端から友達リクエストを送った

ちなみに唯はフェイスノートに二つのIDを持っていて、友達用と仕事用で使い分けている

そして仕事用の方には「お金がない、お金がほしい」と書き込み、写真も露出が多いものを使っていた

そして友達リクエストから数分もしないうちにメッセージが届く

─お金って、2〜3万くらいでいいんですか?─

さっき友達リクエストしたばかりの小学校教師だ

唯は相手の気が変わらないうちに返信を打つことにした

─はい、ありがとうございます。井上さん、明日の夕方に××駅前辺りで会えませんか?─

××駅周辺は、少し歩くとラブホ街がある

相手もそれなりの下心があっての申し出

××駅周辺というのは、回りくどい言い方をしなくても、大抵の人は察しがつく

唯の送信から数分もしないうちに返信が来た

─あの辺りってヤバくないかな? 私も職業が職業なだけに人目は避けたいんだよね─

相手が学校の先生だと、およそこういうやり取りになる

そのあたりは唯も心得たもので
─それでしたら、直接ラブホの室内で会いませんか?─
と送信してみる

するとすぐに
─それでよければ、その方が助かります。明日ラブホに入ったらホテルの名前と部屋の番号をお知らせします─
と返信が来た

最後に唯は
─こちらこそよろしくお願いします─
と送って締めくくった

顧客の創造ってこういうことか…

─翌日

唯は学校にもドラッカーの本を持っていき、その先を読み進める

「何を価値とするかは顧客だけが答えられる複雑な問題である。推察してはならない。顧客のところへ出かけて行き、聞かなければならない。」

ふーん…

今日会う井上さんは何を価値とするのだろう?

ただ若い娘とやりたいだけ?

唯は一人で首を大きく横に振り、推察してはならない、顧客のところへ出かけて行き、聞かなければならない、だったよね

そして放課後になり、教室で談笑して時間をつぶし、その後唯は電車で××駅に向かう

まだ井上からの連絡はない

××駅に到着し、駅前の広場に出て携帯をチェックする

するとフェイスノートにメッセージが来ていた

開いてみると井上からだ

─ホテル ナポレオンの202に入りました。お待ちしています─

メッセージには位置情報もあり、クリックすればすぐに地図が開けるようになっていた

が、唯はこの辺りのホテルはすべて頭に入っていて、地図を見る必要もない

携帯の画面を閉じ、すぐにナポレオンに向かった

唯も人目を気にして裏口からホテルの中へ

「202、202っと…」
と唯は階段を昇って2階へ

そして202号室の呼鈴を鳴らした

─ピンポーン

すると数秒でドアが開いた

井上だ

フェイスノートの顔写真と同じだ

「こんにちは、どうぞ」
と井上が言う

唯も明るく
「こんにちは」
と言って室内に入った

靴を脱ぎ、奥へと入っていく

井上はグレーのスーツ姿で、見た目では30代半ばくらいだろう

その井上が
「どうぞ」
と唯にソファに座るように促した

唯は恐縮しながらソファに座る

そして井上は早々と3万円をテーブルに置いた

すると唯はお金に手をつけずに
「あの…」
と言う


[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!