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夏休み
会話
R18指定文庫
すると純平は
「俺に手紙を書け。内容は何でもいい。解ったな?」
と言う

萌も美奈子もきょとんとしたまま
「はい…」
と返事をした

「じゃあな」
と純平は言うと、本当に出ていった

萌も美奈子も何を書くのか悩む

「ねえ、美奈子」
と先に口を開いたのは萌だ

すると美奈子は
「何?」
と怒ったような口調だ

それもそのはず、萌は自分だけ助かりたいと申し出て、それ以来初めてまともに口をきいたのだ

「美奈子、そんなに怒らないでよ」

「怒ってない。だから、何?」
と美奈子は言う

萌は謝ろうかとも思ったが、今は同じ境遇、そのうちに打ち解けるだろうと考えた

そして
「美奈子、何書く?」
と萌が言う

「そうね、この手紙でまた何を判断されるのかもね」

美奈子はやや冷たい言い方だ

「じゃあ、何? ラブレターみたいな内容にするの?」
と萌

「ラブレターって、相手は変態なんだから、もっとすごい内容じゃなきゃダメなんじゃない?」
と美奈子は言うのだ

「えーっ、書いたことないよ…」
と萌

「ねえ、少し黙ってて。私も集中したいんだから」
と美奈子が言うと、互いに手紙に集中しているのか、本当に会話がなくなった

そして、会話がなくなって1時間以上が経過する

するとまた萌の方が口を開いた

「ねえ、美奈子」

「何?」
とまた怒ったような口調の美奈子

「今どうにかして逃げ出せないかな?」
と萌は言う

「できるんなら、そうしてるわよ」
と美奈子は相変わらず萌に対しては無愛想だ

「もう、こんな時まで怒んないでよ。ねえ、逃げようよ」

「それが無理だからこうしてるんでしょ。手紙書いたの?」
と美奈子

「書いた、ワケわかんないけど…」
と萌は返事する

「そう、いいわよ、ワケわかんなくて。この状況でワケわかるほうがおかしいし…」

「ねえ、それよりさ、何か逃げる方法はないの?」
と萌は逃げることに必死だ

それもそうだろう、昨夜あれだけ殴られたんだから…

「じゃあ逆に聞くけど、この檻からどうやって出るの?」
と美奈子が言う

口を閉ざしてしまう萌

「それにあんたの洋服もズタズタだし…」
と美奈子は言った

萌は昨夜、服をハサミでズタズタに切り裂かれたことを思い出す

だが萌は
「でも逃げれば何とかなるかも知れないし…」
とまだ逃げることを諦めきれない

「あんた、バカ? 逃げ切れなかったら、本当に終わりだよ。絶対に殺されるって」

「でも…」
と萌

「それにあんたが逃げるのを失敗したら、私の命まで危なくなるじゃない」
と美奈子は言うのだ

「うん…」

「私もがんばって逃げられるチャンス作るから、とにかく今は我慢して」
と美奈子は言った

美奈子だって監禁されてて楽しいわけではない

いつかは逃げ出したいのだ

萌にもその気持ちがわかったのか
「うん、ごめん…」
と言ってシクシク泣き始めた

すると外から車の音がする

純平が帰ってきたのだろう

萌は必死に涙を止める

扉が開き、純平がたくさんの荷物を持って入ってきた

「お帰りなさいませ」
と美奈子が言う

美奈子は牢獄の中で正座し、手を着いてお辞儀していた

これを聞き、萌も慌てて
「お帰りなさいませ」
と言う

萌も慌てての正座だった

純平は一旦荷物を置くと、また外へ

そしてまた荷物を持ってくる

タライやヤカン、タオル、食料など、ここでの生活に必要な物ばかりだ

萌も美奈子もこれを見て愕然とする

まだここでの監禁生活が長引きそうだと…

そんな2人に純平が近づいてくる

そして純平は手を出し
「手紙」
と言った

純平が手を出したのは上段、美奈子の方だ

美奈子はすぐに手紙を渡す

純平はニヤニヤ笑いながら手紙を読んだ

─ご主人様
ありがとうございました
私もいろいろな体験ができ、いろんな性的快楽に目覚めました
次は何があるのかと思うとドキドキします
こんな気持ちは初めてです
私ったら、そんなことを考えるだけで、また股間が…
すみません、こんなはしたない私で
今夜もよろしくお願いします
美奈子─

そして今度は萌のほうに手を出す

萌はしぶしぶといった感じで手紙を渡した

─ご主人様
昨夜はすごくなぐられて、私のこときらいですか?
痛いけど、がまんしてセックスもしました
私の全部を見せました
それでもきらいですか?
私は好きになりつつあります
私をきらわないでください
萌─

純平はニヤニヤしたまま、下段の鍵を開けた

「出ろ」

萌はゆっくりと牢獄から出た


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あきゅろす。
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