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小説





「……壱岐、」
「仁志、あそこガラス割れてたかな」
「なかった」
「だよね」

二人が入口の割れたガラスを指差しながら言った。
ドアのガラスが奇麗に割れ、破片が下に散らばっている。

「……暴れて、る?」
「夜長を押さえきれなかったんでしょ、五色死んでないといーけど」
「壱岐、そりゃねーぜ。 あいつら馬鹿だから」
「それ何のフォローにもなってませんから」
「………」

二人とも何気に酷い……。
ま、いーや。
早く行かないとやばいかな?

「壱岐、仁志くん、これ入って大丈夫?」
「あ、入るなら裏口から行きましょ、そっちのが多分安全だから」
「こっちだ」

仁志くんに連れられて行けば、店員用っぽい裏口に案内された。
……俺、一応部外者…。

「大丈夫、総長の義弟なら誰も手出さねえよ」
「そうですよ、出させませんから」
「あり、がと」

あ、やばい、これは嬉しい。
義弟ってだけじゃなく、心配してくれるのは嬉しい。
思わず顔が緩む。

「……、」
「…!」

二人が顔を見合わせて、こちらを見た。
あ、なんか怪訝な顔してる。





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