小説 2 「……壱岐、」 「仁志、あそこガラス割れてたかな」 「なかった」 「だよね」 二人が入口の割れたガラスを指差しながら言った。 ドアのガラスが奇麗に割れ、破片が下に散らばっている。 「……暴れて、る?」 「夜長を押さえきれなかったんでしょ、五色死んでないといーけど」 「壱岐、そりゃねーぜ。 あいつら馬鹿だから」 「それ何のフォローにもなってませんから」 「………」 二人とも何気に酷い……。 ま、いーや。 早く行かないとやばいかな? 「壱岐、仁志くん、これ入って大丈夫?」 「あ、入るなら裏口から行きましょ、そっちのが多分安全だから」 「こっちだ」 仁志くんに連れられて行けば、店員用っぽい裏口に案内された。 ……俺、一応部外者…。 「大丈夫、総長の義弟なら誰も手出さねえよ」 「そうですよ、出させませんから」 「あり、がと」 あ、やばい、これは嬉しい。 義弟ってだけじゃなく、心配してくれるのは嬉しい。 思わず顔が緩む。 「……、」 「…!」 二人が顔を見合わせて、こちらを見た。 あ、なんか怪訝な顔してる。 [*][#] [戻る] |