小説 2 「……アレ、一人なの?」 「ん、今はな」 バタバタ走って帰ってきた我が家の玄関で、何の音もしないのに気付いたか、きーやんがそう聞いた。 「ふーん」 「あ、風呂どうする?」 「借りれるならシャワーで大丈夫」 「まだ張ってねえから、シャワーしかねえの」 「じゃシャワーで」 「そこの奥の左。タオルはボックスん中。着替えは、スウェットでいー?」 「んー…うん」 「タッパあっけど、アレなら大丈夫だろ」 テキパキと話を進めながら、自分の上着を脱いだ。 寒くないし、これからまたエアコンいれるし、大丈夫だろ。 「…あ、そーいや携帯」 が、鳴ってたような。 きーやんを風呂場へ見送ったあとに、ソファに座り携帯を開いた。 親からのメールで、今日と明日は帰らないとのコト。 ……サプライズって何だ。 期待はできそうだけど、さ。 「…」 ま、考えても分かんないし……取り敢えず、部屋片付けっか。 別にやばいもんとかはないけど、なんか気になる。 ダチが来るってなると、無性に片付けたくなるよな。 10分で終わらせようと急いで二階へ行った。 その5分後にきーやんこと北下が、風呂場から出て来てた。 カラスの行水なのか、お早いことで。 リビングに游の姿がないのが気になるのか、座るにも座れず、立ち往生していたようだった。 「…」 バタバタと階段から音がした。と、思えばすぐさま遊が顔を出した。 「お、音がしたから下りてみたら…やっぱ上がってた。 ドライヤー使う?」 俺はそんなに長くないから、自然乾燥派なんだよな。 と零せばきーやんほ首を横に振る。 「使わない」 「だったら、ちゃんと乾かさないと」 「ん」 「ある程度拭いたら洗濯機に入れといてな」 「わかった」 髪質は痛んで無いみたいだけど、染めてんのかな? わしゃわしゃと頭を拭くきーやんに笑いながら、あ。と思い、聞いた。 「布団とベッドどっちがいー?」 「どっちでも…」 「じゃあおれと一緒でいい?」 「…あー、うん」 「敷くのめんどくさいし、客用のどこあるかわかんねえから。 ………眠そうだね?」 ゆらゆらと身体が動き、眠そうに眼を擦るきーやんが可愛い。 「…んー、」 「じゃあ二階来いよ、頭も拭いてやるから」 「ん」 ああ、目を擦る様が可愛い。なんて失礼かな。 可愛いから仕方ないのだけれど。 またもや腕を引きながら二階にあがり、自室のドアを開いた。 それに伴い、後ろからガバーッと覆い被さられた。 いきなりの重みによろけたが、なんだ。と思えば眠そうな唸り声。 あ、これはもう寝そうだね。 「まだ待てよ、もちっとな」 「んー」 [*][#] [戻る] |