小説 10 東海林サンは、その下にまた長袖を着てたみたいで、寒くはなさそうだった。 ちらりと見えた腹筋がすごいかっこよくて。 「……」 きーやんどうなったのかな、居ないってことは帰ったんだろうな。 連絡先知らないから、報せようが無い…。 東海林サンなら知ってるかな。 「…東海林サン」 「………遊」 「え」 「……零士って呼べ」 「…だって、年上」 「…いーから」 「…れーし?」 「ん」 年上ってか不良の総長を呼び捨てとか、いいのかな…。 微妙な微笑みだが、初めて見た側としては、かなり見惚れるんだけど。 わーわー、どうしよ、この人カッコいい。 この人がお兄ちゃんとか、マジラッキーじゃん。 「……」 えへ、と緩んだ笑いがでてきた。 やっぱ噂ってアテにならねえな、この人はいい人だ。 「零士、」 「…ん」 「取り敢えずご飯食べようか」 怖いとか、噂とか、もういいや。 やっぱあるがまま。だよね。 第一印象より、中身ですよ、うん。 [*] [戻る] |