長編&固定の恋歌
〜コードギアス〜
stage1−9
――パシッ――
不意に倒れて動かない筈の少女がルルーシュの腕を掴んだ。
《終わりたくないのだな、お前も》
(っ…何だ?)
ルルーシュが瞳を開け見えた世界は、見た事もない精神世界。
《お前には生きる為の理由があるらしい》
少女の声がルルーシュの頭に響く。
《これは契約。力をあげる代わりに私の願いを一つだけ叶えてもらう。
契約すればお前は人の世に生きながら人とは違う理で生きる事になる》
不思議なヴィジョンが映る。
《異なる摂理、異なる時間、異なる命。
王の力はお前を孤独にする。その覚悟があるのなら…》
瞬間、ルルーシュの脳裏に浮かんだのは自分の父親であり、最も憎む相手…。
「良いだろう…。結ぶぞ、その契約…!」
ルルーシュはハッキリと答えた。
「……ごめんね、ルルーシュ…スザク…。」
倉庫から少し離れた場所でシルバーピンクの髪が揺れる。
「…絶望の中でないと、あなたは契約を結ばなかっただろうから……。」
苦しげに呟かれた言葉が風に溶ける。
「なぁ、ブリタニアを憎むブリタニア人はどう生きれば良い?」
手で右目を覆いながらルルーシュが立ち上がる。
「でも…ルルーシュ…それは危険な力。
お願い、力の使い方を間違えないで…っ。」
アルティナは祈るように胸の前で両手を組んだ。
「撃って良いのは撃たれる覚悟がある奴だけだと。」
覆っていた手を退ければルルーシュの右目は紅く光り…
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。
貴様達は……死ねっ!」
アルティナの願いとは裏腹にルルーシュが命じた。
「イエス、ユアハイネス!」
軍人達は笑いながら自分に銃を撃ちつけると、飛び散る真っ赤な血がルルーシュにかかる。
倒れいく軍人達を見ていたルルーシュは驚き怯えたような顔をし
やがて、その口元に笑みを作る。
「――だから――」
不気味なほどの笑みを浮かべながら呟かれた言葉。
(王の力は……いや、これが本来あるべき姿、か)
アルティナはそれを聞きながらキツク瞳を閉じ天を仰いだ。
魔神が生まれた日…
(いや、ルルーシュは魔神にしては優し過ぎる…だから)
――優しき魔神の誕生……
それがアルティナがアルティナとして最後に呟いた言葉だった。
To be next stage.
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