長編&固定の恋歌
〜コードギアス〜
stage0.75−6
その驚く程に綺麗で純真な姿にルルーシュは顔を赤らめ、片手で顔を隠した。
「…? どうしました?」
その態度を不思議そうに首を傾げて見つめるティルナ。
「な、何でもない!
ティルナが急に礼なんか言うから驚いただけだ。」
「あら、失礼ですね。
まるで、礼なんか言わない人間みたいじゃないですか。」
「そうは言っていない。
案外、捻くれた捉え方をするんだな?」
片眉を寄せて不服そうに言うティルナにルルーシュは笑いながら嫌味を言う。
「言いますねぇ。
…でも、ありがとうともう一つ…ごめんなさいを言わなくてはいけませんね。」
くすくすと笑いながら、ティルナは声のトーンを落としてルルーシュを見る。
「…ティルナ…?」
ティルナの態度に不審がるルルーシュ。
「本当は今日あった事、全部を…と思ったけど……私も甘さを捨て切れないみたい。」
「どういう意味だ?」
ふわりとティルナの髪が風に舞い、ティルナの表情が良く見えない。
「あなたが偽りの私でも良いと言ってくれたから…今日の出来事すべては消せない…消したくないけれど…。」
風が止み、気付けば間近に迫っていたティルナの瞳がルルーシュの瞳を捕える。
「…ティルナっ!?」
思わずルルーシュが叫んだティルナの目は赤く…
「今日、あなたが見た私の戦いは忘れて…。」
「…あ…ぅ……アルティナ…。」
自分の真実の名を呼びながら意識を失うルルーシュを受け止めるティルナの赤い目は
深い哀しみを宿していた。
「ごめんね……ルルーシュに力は使いたくなかった…。
でも、まだ“私”を知られる訳にはいかないの。」
気を失ったルルーシュを抱きしめながらティルナは呟く。
「いつか、真実を話せる日まで嘘をつく事を許して…ルルーシュ…。」
そうして、長い一日は終わりを告げた。
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