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「餞別って“別れを惜しんで贈り物をする”って意味なんだけど。別れが惜しいのか?」

「……ワカレガオシイ?」

「つまり残念だってこと」


汐見はたっぷり二拍静止したかと思えば、眉にしわを寄せておれの手から袋を引ったくった。わわ、破ける。


「やっぱりやらねー」

「いやいやいや」

「いやいやいやいや」

「………」


なんだか小学生が多いな、この学校は。こいつ絶対いやの回数を増やしていくつもりだろう。最終的には収拾がつかず、だらだら終わるに違いない。

どうしたものかと呆れて見ていると、かすかに汐見の顔が赤いことに気づいた。ニキビのない綺麗な肌が朱に染まる。

…こ、これはもしかして!


「ヤン(キー)デレ!?」

「………はぁ?」


汐見は変な声を出した。

ああ、こういう場合、たいていの人は同じ反応だな。凛太郎先輩もそうだったし。いや、あっちは意味を理解してたか。意外だ。

瞬間、おれはがくりと首を傾げる汐見を見て、ニヤリと笑った。

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