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「でもよ、オマエ身長のわりに細いしうさんくせーし。戦力にならなさそうだよな」
「うさんくさっ…!?あーもー失礼なこと言うなよ!雑草抜くのは得意だっ」
「ソレ自慢になんねーよー」
うっせ。
しゃがみこんで作業をしだした汐見につられて、おれもしゃがむ。どうにか見様見真似でいくか。手先はわりと器用なほうだ。
「そういやオマエ、家政夫だよな。りょーりとかするわけー?」
「ああ、するけど」
「どーせ全部モヤシ炒めだろ。やーいモヤシっコー」
…馬鹿にしてんのかこいつ。
くだらないことをべらべら喋りつつも、汐見の手つきは迷いがなかった。しかも優しげだ。植物が好きなんだな、となんとなく微笑ましくなる。…やっぱギャップ萌え狙えるかも。チャラ男が園芸好きって。
「まあそれはいいとしてさー、どれくらいハーブ知ってんのー?ちょっとは使うだろ?」
「えーと、…ミント、ローズマリー、ラベンダー、チャイブ、カモミール、レモンバーム、レモングラス、ローリエ、ローズヒップ、フェンネル、パセリ、マジョラム、オレガノ、クレソン、セージ、サフラン、ジャスミン、チコリ、バジル、タイム、コリアンダー。……とか?」
「二十一。まだまだだなー。しかも有名どころばっか」
「男子高校生がこれだけ言えるのはなかなかないと思うぞ」
「ちげえよー、俺様の下で働くんならあと二十は覚えろってハナシ」
「あと二十…って、二倍じゃねーか!」
しかも俺様発動!?やっぱ兄弟だ!
「一週間ありゃイケんだろ。さてクエスチョン、あのハーブの名前は?ハイ正解はマタタビー」
「ちょ、思考時間ナシ!?」
「んじゃ次なー。あのハーブの名前は?パイナップルミントー」
「ちょ、待て」
「次がアレ、正解はレモンバーベナ」
「ちょ」
「次が……」
一つ、わかったことがある。
こいつは絶対、先生にはなれない。
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