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「――と、いうワケなんですよ。全く予想外じゃね?発言は予想できても行動は予想できなかったとかさ、意味ねーよ」
「ぅおーい何花に話しかけてんだ。手伝えよー」
「ハイハイ」
と、いうワケで、現在おれは温室にいます。…軽い植物園だよなコレ。一体何のためにあるわけ。
ちなみに今居るのはハーブ園だ。うちの学園の植物園、じゃない温室はいくつかあって、これはその一つ。ハーブ好きの主婦とかが来たら発狂しそう。かくいうおれも料理人としてうれしかったり。
「すげえな。こんなにたくさん」
「六十種類あるんだとよ。学校法人にしちゃ破格にデケェよなー」
「六十!?」
この温室にそんなにあるのか!?ほんとにすげえな。料理にちょっとわけてもらいたい。
だがしかし、目の前にいる男がこの感動をぶち壊しにしている気がするんだが気のせいだろうか。明るい茶髪にカチューシャ、ピアス、腰パン。なにこの奇妙な状態。
つまりおれと一緒にいるのは、植物が全然似合わない男――汐見知利。とはいっても彼はれっきとした園芸部員らしい。…ギャップ萌え狙ってんのか!?
汐見はスコップを持ちながらおれを手招いた。うわ、だるそう。
またもやゆるゆるした話し方で奴は言った。
「ったくよ、オマエが盗んだのは花だろォ?なのになんでハーブ園の罰なんだよー。しかもなんで俺は今月ハーブ園担当なんだよー。あーめんどくせ」
「はあ。担当決めた兄貴に言えば?」
「あー、たしか『日和チャンを奴隷のように使ってやれよ』っていわれた。でも仕込むまでが大変なんだよなァ」
「…………」
最悪だな汐見兄。つうか弟も弟で仕込むとか言うな。
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