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朝。教室についたおれは、数人のクラスメイトが居る室内で荷物の整理をしていた。基本的に教科書以外は置き勉なので、毎朝その日の教材を整理しなきゃならないのだ。えーと、今日は一時間目が英語G、次が数T、次が保健、次が……。うん、できた。
それが終わったらトイレに行く、これもなんとなく習慣化してるかもしれない。…あー、このフロアのトイレは五組寄りで遠いから、なんか行きにくいんだよな。おれは朝のけだるさも相まって、のんびりと用を足した。
のろのろとした歩みで教室に戻ると、先ほどより大幅に生徒数が増えているのを発見した。だいぶゆっくりしてたみたいだ。授業開始時間的には問題ないからいいけど。
ところで、そこかしこでチワワ少年が笑う様子は微笑ましいものだな、そんなことを考えながら前の扉から教室に入る。…まあ発言内容を聞かなければの話だけれど(「○○は最近可愛くなった」とか「どうせ雰囲気だけだよ」とか)。おまえらはライバルを蹴落としたい性悪な女子か。
なんにせよけっこういい時間だな、なんて思いながら自分の机を見ると。
「……」
そこにあったのは、花瓶に入れられたあじさいの花。
鮮やかな紫色がキレイだ、って違う、普通花瓶に入れるのは菊じゃねーの?それがいじめの定番じゃねーの?と首を傾げていると、ふいに前の席に座る益子りく(委員長から話をきいたあの美人)が振り向いた。
彼は澄んだ黒色の瞳を動かして、あじさいを見る。目の中にうつる紫がきらきら光っていた。うわ、キレイだな…。
「あじさいの花言葉の一つは“辛抱強い愛情”。生徒会への愛を宣言されてるんじゃない?」
「……。へえ」
言い終えると彼は何事もなかったかのように前を向く。…うん、話しかけてくるタイミングがよくわからなかった。でも実は彼と話すのは二回目だったりする。
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