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『覚悟しな』という恐ろしい宣言どおり、チワワ番長・曽我部はおれいじめ(命名、山中いじめ)を開始した。クラスメイトの薔薇メンバーを手足のごとく使役し、おれを倒しにかかるのだ。

その内容はといえば。

一つ、机に雑言を書き尽くす。よくある手段だ。

一つ、靴箱に嫌がらせをしかける。これもよくある。

一つ、机の上に花を置く。これもしかり。

一つ、イスをわざと引きにくくする(机の前側二本の脚をつなぐ横棒をまたいでイスをしまう)。…これはあんまりないな。

これだけ見るとあーいじめられてると思うだろ?山中いじめ激しいとか思うだろ?しかし問題はここからだ。詳細を話そうじゃないか。

まず机に書かれた雑言が問題だ。雑言とはつまり“らんぼうないろいろの悪口”のことなのだが、おれの机の天板に書き殴られた文字は「ばか」「あほ」「どじ」「まぬけ」「どべ」「とんま」「みそっかす」「もやし」「かせいふ」など、小学生なみのそれだ。確かに乱暴な悪口だけど、低レベルすぎて反応に困った。いや待てよ、今時小学生でも全部平仮名ってことはない、おまえらいくつだよ。ってか最後の悪口じゃないし。

次は靴箱に仕掛けられた嫌がらせについて。内容はあれだ、不幸の手紙。ばかじゃねーのとちょっぴり笑ったのは秘密だ。ちなみに読まずにゴミ箱ほい、はきついので凛太郎先輩に渡してみた(「最近の親衛隊は幼虫だね」「…幼虫?幼稚?」)。

なんにせよわかったのは、生ゴミを仕掛けてくるような勇者はこの学園にはいないということだ。曰わく「いやーん手が汚れるぅ」らしい。…うん、可愛いけどさ、可愛いんだけどさ、なんでそこでゴリマッチョにおねだりとかしないかな!「ボクのためにお願い(はぁと)」とか言ったらやってくれるだろ、って違うぞおれ。いじめのレクチャー考えてどうするんだよ!

あと一つ、イスはもうノーコメントでいいとして(正直偶然かと思った。三日目に気づいたり…)あとは花瓶のやつだな。これはどうせだから当時にさかのぼって説明してみよう。

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あきゅろす。
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