16 「……おいしい」 びっくりしたようなクーママの声をきいて、自然と笑顔になる。そのあとクーママはスープにスプーンをつっこんで、しばしぼんやりしていた。 なんだ?会長に食べさせたいのか?『あーん』みたいな。ああ、クーママ受けもいいけど会長受けもおいしいかもしれない。右側って重要だよな! なんて考えたが、クーママが言ったのは別のことだった。 「君は?」 「はい?」 「君は食べないのかってきいてるの」 ああ理解。クーママってば、やっぱり言葉数が少ない。 「大丈夫です。自分用のお昼は用意してあるので」 まあ栄養ドリンクだけど。おれ、あんまり食べないし。 しかしクーママはその返事が不満だったらしい。ふいっとそっぽを向くと、食器をおいてしまった。え、なんで? クーママを見ながら首を傾げるおれに助け舟を出したのは、連太郎先輩だった。先輩はにやっと笑いながら言う。 「凛はさ、山中が食べてないから心配なんだよ」 「……へ?」 「一人だけ仲間外れみたいだ、って。ね、凛?」 しんぱい、って。 びっくりしてクーママを見れば、彼は顔を赤く染めていた。 「…違う。余計なこと言うな」 これは、これは……! 「つんでれ!?」 「…山中。今なんて言った?」 あ、まずい。 *前へ次へ# [戻る] |