13 …と、高らかに宣言したはいいものの。 「材料がほとんどない……」 冷蔵庫に入っていたのはクラフトチーズ、100パーセントのオレンジジュースとアップルジュース、かちかちのフランスパン、ワイン。…ん?最後の一つは料理用だよな? 野菜室も同様で、大量の玉ねぎとにんにく。冷凍庫には何もない。 うーん、こまった。せめてパスタとかあればこれでイタリアンにできるけど、乾物がなにもない。こういう展開は予想してたとはいえ、荷物がとどいていること前提だったからな。まだ午後にならないし。 とりあえず作るだけ作ろうか。調理器具や食器はわんさかある。 途中でみつけたコンソメを拾い、まず大量の玉ねぎとにんにくをみじんぎり。この玉ねぎちょっと甘そう。でもメンバーの中に甘いのが苦手な人はいなかったから大丈夫かな。事前に渡された書類には、ちゃんと目を通してある。 ちょっぴり泣きそうになりながら玉ねぎと格闘したあと(サングラス効果はあまりありませんでした)鍋で切った玉ねぎとにんにくを炒める。飴色になるくらい。…うん、いい香りだ。ホントはもうちょっと時間かけたいけど今日はこのくらいで。あんまり待たせると悪いし。 そしたら水を入れて煮て、コンソメを入れて煮て。鍋を時々かき混ぜつつフランスパンを切る。固すぎて包丁を持つ手が痛かった。うえ。 耐熱のスープ皿を四つ、ありがたくお借りして、軽く水洗い。あ、食洗機ある。しかも最新式かよ!?すげーなあ。それとオーブンの使い方も見とこう、ってコンベクション機能つきじゃん!焼きムラ対処できるよ、らっきー! やっと一段落して鍋をぐるぐるかき混ぜていると、前方から突き刺さる視線のとげ。四人ともぽかーんとしている。多分こんなに人がくるくる動くのを見たことがなかったんじゃないかな。そういや執事使いさんってオープンキッチンなのにどうしたんだろう?まさか成り代わり!?ってそれはないか。 と、忘れてた。冷蔵庫のチーズの賞味期限を確認しなきゃ。…ふむ、大丈夫っぽい。てか今更だけど、あのフランスパンはいつのだろうか?カビ生えてなかったから大丈夫だと解釈したけれど。 *前へ次へ# [戻る] |