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ハジメテの、28(Sirai)
「理事長に聞いんだが、あいつ雇われモノらしいじゃねえか。どっからあんなに高等な天使探してきたのかと思ってな」


 その話をきくかぎり、理事長はどうやら偽の情報を流しているらしい。ゼンは生徒だ。雇われたわけじゃない。


「…どこから、ねえ。僕も知らないな。風紀会会長として連携を取ったことがあるだけだし。っていうか見たことあるの?」

「俺は無いが。あのナマケモノが見たらしい」

「ナマケモノ…。書記、か」


 肩をすくめながらの言葉に、僕は苦笑いで返した。ナマケモノとはよく言ったものだ。確かにその通りだ。


「ああ。あいつのコト。…で、結局何も知らねえのか?白天使と接触があったと考えられるのは理事長か被害者、加害者、それにお前くらいだと思うんだが」

「残念ながら。あくまでも事務的な付き合いだから。ほとんど話したこともないよ」

「そうか…」


 どうするかな、と考え込むシンの意図が読めなくて、僕はその顔を見つめた。正直こんな話ならいつでも話せるはずだ。何故、今やってきたんだろう。

 シンは再び口を開く。


「理事長問いつめようにもよ、葵って…聖宮の傘下だろ?大天使直属の天使貴族にナニかするわけにもいかねえからな。手詰まりなんだ」

「会ったこともないんだし、諦めるのは早いんじゃないの?」

「……会いたくねえな、正直。うちのナマケモノ曰く『シン、狂うかも』だとよ」

「え。黒崎は狂いそうになったわけ?」

「知らねえ。そこまで詳しくきいてねえ」

「ふうん…」


 シンの言うナマケモノは生徒会書記の黒崎ルイのことだ。B組担任の黒崎カインの弟で、それはあまり知られていないが――まあ今はいい。それより黒崎が言った『シンが狂う』ということの方が気になる。

 白天使を見て狂うのは、聖力回復した後限定じゃないのかと僕は予想しているのに。黒崎はどういうつもりで言ったんだろう。もしかしてAクラスの生徒が犯罪を犯した時、その場にいたのだろうか。

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あきゅろす。
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