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ハジメテの、19
「し、白井先輩と一緒に、も、ももも、桃山先輩まで…!?」


 桃山先輩?…ああ、たった今香澄と呼ばれていた“孤高の天使”のことか。どうやら彼は桃山香澄というらしい。なんだか珍しい名前だな。


「…っていうかゼンくん、助けられてたけど、白井先輩と仲良いの?」


 次に復活したのは涼二くん。俺はどう答えていいかわからなくて、いつのまにか俺の背後に移動していた白井先輩を見て尋ねる。


「ん?……うん、ここには危険派はいないし大丈夫かな」

「え?危険派?」

「ああいやこっちのはなし」


 最後のほうが小声すぎて聞き取れなかったから聞き返したんだけど、気にしないでと言われたら引くしかない。

 俺はどこか釈然としないものを感じながらも、白井先輩の言葉を待った。


「僕とゼン、けっこう仲良いよね」


 にこり、先輩が笑った瞬間。


「えーーーーっ!ヒジリが誰かを好いてるっ!?」

「こ、ここここ“孤高の天使”と仲が良いっ?」

「わー……。やっぱりゼンって希有な存在みたいだ」

「……………………………………………………ん?」


 ……一人、否愛樹君は理解できていないようだったけれど。

 それはそうと、白井先輩が周りに人がいる時に俺に話しかけてきたり、ましてや俺の名前を呼ぶなんてどういう風の吹き回しなんだろうか。今は収集つかなくなりそうだから後できこうかな。

 俺は白井先輩以外の四人に凝視されているのを感じながら、


「白井先輩はどうしてここに?」


 と尋ねた。

 すると先輩は、ああ忘れてたなんて呟きながら桃山先輩(だよな、たぶん)の頭をぱしりと叩く。

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