ハジメテの、16 * * * * * * 食べ始めてからけっこうな時間がたった。二人のガーゴイルは魂の分割が時間的にこれ以上できないということで、去ってしまったくらいだ。俺は二人にお土産のマカロンを預けて、送り出した。 今はデザートを食べているところで、レジャーシートには色とりどりの甘味が並ぶ。 俺が作ったもののほかに、涼二くんが愛樹くんの大好物だというティラミスとドーナツを作ってきたので、シートの上は完全にごちゃごちゃだ。しかもユキくんが余った時間でスコーンを作っていたので、なおさらである。 …それにしても、ユキくんもよく食べるけど、愛樹くんも食べるなあ。食後にドーナツって重たい気がするんだけど。 コーヒーを注いでみんなにわたしたあと。俺は満腹感から眠気を感じ始めた。 「ゼンくん…、眠いの、?」 「うーん…」 「腹がへったら眠くなる、ってか?」 「あはは、子供みたいだね。ほらゼンくん、ここで寝たら背中が芝だらけになるよ」 「……ん」 みんなの穏やかな笑い声が、いいかんじの子守歌になって、俺はくたりと大の字に倒れて眠りに――、 「あーーーーーーっ!お菓子パーティーしてるうっっ!」 「っ!?」 ――…つけなかった。 高めの可愛らしい大声がその場に響きわたって、あまりの驚きに俺の眠気は霧消した。 *前へ次へ# [戻る] |