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ハジメテの、12
 俺がそう声を掛けたのは、門番である二人のガーゴイルに向けてだ。オレンジ色の肌のバロンさん、紫色の肌のオットーさん。編入初日に宣言した通りに俺は二人のもとに通い、今は懇意な間柄だ。

 また、はじめは怯えていたユキ君も今は慣れて仲がよい。こうして昼を誘うくらいには親密になったのだ。


「ああ、いつもすまんな」

「少し待ってくれ。今分身を作る」


 そう言って、門の両脇にいた彼らは目を閉じた。

 分身を作るとは、すごく簡単に言えば一時的に魂を分割することらしい。これができるのはガーゴイルという種族だけなんだそうだ。

 ただ、作った分身には制約があって、強さは本体の半分だったり、本体と分身がある距離より遠ざかると分身が消えてしまったりするらしい。

 ちなみに俺達と昼食を食べるのは分身の方だ。流石に職務を疎かにはできないだろうしな。

 目をつむる二人に視線を戻す。それぞれから緑色の気が立ちのぼり、それらが体を形作るようにしてうねる。

 そして、本体の半分くらいのサイズの分身が出来上がった。


「待たせたな」

「では行くか」

「ふふ…、はい。行きましょう」


 分身はすこし幼い雰囲気で、本体と比べると声が高い。一緒にいると親子みたいだ。それでも口調は堅いままだからすこしおかしい。

 こいつらが世話になる、そう言ったバロンさんの言葉に俺はいよいよ可愛らしさを感じて、くすくすと笑いながら三人のもとへ向かったのだった。

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あきゅろす。
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