ハジメテの、5 「ねえ、ゼン。……聖力足りなくなってきてるでしょ」 ぎくり。 俺は引きつり笑いを浮かべて言った。 「ソンナコトナイデスヨ?」 「へえ。ゼンも嘘を吐くの?」 …デジャヴが。数時間前のデジャヴが。 「抱かれるのが怖いっていうのはわかるけどさ、僕にフェラしてるんじゃ限界あるんだからいい加減諦めなきゃ。この学園では仕方ないことだよ」 ――そう。この一年間、俺は口淫だけでどうにか乗り切っていた。 でも、そろそろ無理があるのは感じていた。最近口淫する間隔がどんどん短くなっているのだ。 というか未だに口淫に少しばかり抵抗があるから、抱かれるなんてもってのほかだ。怖い。 そして山瀬に襲われたあの事件を考えると、どうしても拒んでしまうのだ。 「…優しくするからさ、やってみない?そうじゃなきゃ白天使にも影響してくるよ。魔法が使えないでしょ」 「………」 「ゼン。僕のこと信じられない?」 「いえ、それはないです!」 「なら頑張ろうよ。手解きしてあげるから」 「でも……」 俺が渋り続けていると、白井先輩は困った顔をしながら俺に問いかけてくる。 「僕のこと嫌い?」 「いえ、」 「じゃ、好き?」 「……えっと」 なんか恥ずかしい。なんなんだこれ。 「また“どちらかと言えば好き”っていうわけ?」 「…や、そうじゃなくて。その………」 自分の顔が赤くなるのがわかる。なんかこれ、告白するみたいじゃないか!?違うぞ! 悲しそうな表情の白井先輩に負けて、俺は言ったのだ。 「好き、です」 瞬間、とろけるような笑みを浮かべた白井先輩を見て鼓動が早まったのは、何故だろうか。 *前へ次へ# [戻る] |