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ハジメテの、4



 * * * * * *



 作業を終えた後、俺は一日の報告に白井先輩の部屋を訪れていた。

 風紀の仕事だけじゃなく、俺の仕事にも付き合ってくれているので、とても申し訳なく思う。先輩には負担をかけしまっているよな。


「いつもいつもすみません」

「ゼンがあやまることじゃないでしょ。むしろ僕は犯罪を犯す悪魔にあやまってほしいね」

「…でも、ちょっとずつ減ってますよね?」

「まあね。さすがに二回目〈リーチ〉になると動けないみたい。…悪魔のたまった鬱憤をどうするか。それが今一番の課題だよ」

「そうですよね」


 そうなのだ。今一番の悩みどころがそれなのだ。聖力を吸えずに苛つき始めた悪魔たちがいつか爆発するかもしれない。俺と白井先輩は、最近それで悩んでいた。

 俺が学園に通い始めて一年が過ぎた。時間の流れは早いものだ。

 白井先輩は二人きりの時には俺をゼンと呼ぶようになったし、俺は原君と名前を呼び合うようになった。まだ敬称つきだけれど。

 少しずつ、本当に少しずつだけれど、きっと俺は進んでいるのだ。

 そうぼんやりと思考していた俺は、白井先輩に肩を押され、ソファーに寝転がっていたのにやっと気付いた。

 ……何してんの、白井先輩。

 見上げれば白井先輩の端正な顔と天井が見える。

 白井先輩は今は茶髪の俺の髪をすいて、眼鏡を外した。

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