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ハジメテの、1
 しとしと、しとしと。その日は一日中雨がふっていた。

 夏のうだるような暑さの中、雨による湿気がプラスされては苛々もするだろう。わかる。わかるけれど。


「…許すわけにはいかないんだよな。これが」


 肩の近くをふわりと浮かぶシーフ――風の精霊に、ここまで案内してくれたお礼を言いながら、俺は扉に手をかけた。

 当たり前だけれど鍵がかかっている。こういう時、どうするか?俺の中での答えはただ一つ。


「扉を破る、――ウインド!」


 銀髪がふわりと舞い上がった。俺が着ている白装束が風にはためく。

 手のひらに現れた、薄緑色の小さな小さな台風を、俺は目の前の扉に叩きつけた。

 すると、扉を留めていた金具がメキメキと悲鳴を上げながら外れて、扉は風を纏いながら奥側に倒れた。


 部屋の中にいた男たちと目が合う。可愛らしい小柄な少年と、それを取り巻く三人の男。少年の服装は乱れていて、何があったかは一目瞭然だ。けれど未遂。俺ここまで急いで走ってきたからね。


「誰だおま………!」


 みんながみんな、驚愕に目を見開く。やっぱり派手な登場だからだろうか。それとも白井先輩より色素が薄い天使を始めて見たからだろうか。何にせよこいつらモグリだな。だって、俺の噂は随分前から流れているから。

 その時、涙がひっこんだらしい天使の少年が言った。


「しろてんし、さま…」

「はぁい。僕のこと呼びましたよね、天使さん。みんなの味方、白天使がお助けに上がりましたよ」


 ちなみに声音は変えている。めちゃくちゃ高いから、顔とあってないかもしれないな。…まあ顔って言っても白いマスクつけてるからなかなかわからないだろうけど。白井先輩から「絶対ばれない完璧」のお墨付きだし。だから自分的には違和感ありまくりなんだけど。

 それはそうと、俺は天使の少年を取り囲む三人の悪魔に向かって言った。


「いけません、いけませんよお三方。合意じゃない聖力吸引や性行為は禁止です。処罰の対象です」


 ちっちっち、と顔の前で俺は人差し指を振った。これ、実際されると腹立つよね。今はだからこそ使うんだけどさ。

 目の前の悪魔三人も思ったらしく、


「馬鹿にしてんじゃねぇぞっ!」


 そう怒鳴って、魔法を唱えるべく詠唱をはじめた。

 でも。


「なんだ!?」

「うわああっ!」

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あきゅろす。
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