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非日常のはじまり16



 * * * * * *



 その日、編入生だということで俺は七時間ある授業全部で当てられた。中には天使嫌いらしく、恐ろしく難しい問題を出してくる悪魔もいたが、俺はだてに未来の大天使と言われていない。すぱっと答えて彼らを悔しがらせることに成功したのだった。

 今は放課後。原君は図書委員の仕事があるからと言って図書館に行ってしまい、教室内には俺一人だった。

 それにしても、別れ際に原君に言われた言葉が気になる。


『や…山瀬君には気をつけて』


 山瀬――。あいつを挑発してからというものの、山瀬は俺のことを常ににらんできた。まわりも似たようなものだ。そんなに天使が嫌いなのか?いや、プライドが傷つけられたからか。外見だけなら弱小な俺だから尚更かもしれない。


「おい、このクソ天使」


 全く、俺は編入初日だというのに、とんだ問題児になったものだ。けれどクラスメイトの天使の印象は上々、悪魔からの印象は最悪といったところだろうか。せめて天使に嫌われなかっただけでもいいか。同種族に嫌われるのは流石にキツイものがある。というか将来に影響するしなあ。


「おい、クソ天使!」


 それでも気になるのは―あの時は考える余裕がなかったから今になるけれど―食堂で俺の悪口を言っていたのが悪魔だけではなかったことだ。中には天使もまじっていた。何とも言えない気持ちになる。

 彼らの共通点は背が小さくて声が高いこと。つまり女っぽいことのだ。正直げんなりしてしまう。今まで周りにああいうタイプがいなかったから、きちんと付き合えるかわからない。いや、偏見を持っては駄目だ。どんな性格の者にも誠意を持って接すればいつか…。


「…チッ」

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