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非日常のはじまり15
「いくら生まれつきだって言ってもよ、こんな外見の奴がBクラスだなんて他のクラスの奴らが納得しないと思わねえかァ?魔宮さんも魔宮さんだよ。こんなんにかまうなんて」

「お前魔宮さんに何したの?弱小天使のくせに将来の魔王をたぶらかすなんて最悪だよ」

「ほんっとに怪しー。やっぱ裏口なんじゃないの?」


 山瀬の言葉に便乗して俺に暴言を吐くのは皆悪魔だ。天使達は俺のことを気にしていても、下手にでしゃばって聖力を吸われたり強姦をされるかもしれないと考えると何も言えないのだろう。原君に聞かされた通りだ。

 俺は原君に言われたのだ。


『ぼ、僕…聖宮君のこと、クラス内ではかばってあげられないと思う。S、A、Bの上位クラスの生徒は過激な悪魔が多くて報復がすばやいんだ。だから…ごめんね』


 仕方ないことだと思う。けれど少し――さびしいな。


「おい、きいてんかよ!無視すんな!」


 突然山瀬はそう叫び、俺に炎の塊を飛ばすべく、魔法を唱えた。


「炎よ!我が敵を焼き払え!」



 炎の中級魔法だ。俺は昨日のように、素早く呪文を唱えた。


「クール」


 俺が出した水球が、集まり始めていた炎を包み水蒸気となる。正直――彼の魔法は、昨日の魔宮の魔法と比べると非常に弱い。けしかけてきたくせにその程度の能力なのか、とため息が出た。

 まわりはというと、「今詠唱なしで魔法を発動した…?」「うそ、強い!?」と焦った様子。

 俺はもう一度ため息をついてから、口を開いた。


「俺をせめる為に君の大事な魔力を使うことはないよ、もったいない。どうせならなぐりあいでいいからいつでもかかっておいで。――俺、負けないから」


 気遣っているようで挑発しているこの台詞に、山瀬ほか周りの数人の悪魔が歯ぎしりした。反対に天使は感嘆の息をもらしている。

 その微妙な空気は先生が来たことで授業のそれへと変化し、俺はクラスの居心地の悪さに苦い顔をしてしまったのだった。

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あきゅろす。
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