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ルビーレッドの瞳2
「ゼン、君に命令だ。これから成人するまでの百年間、幻想学園に通いなさい」


 ……驚きのあまり間抜け面になってしまった。

 幻想学園に通うー―?あそこは唯一、天使と悪魔が一緒になって勉強をする学園だ。確か全寮制で、五十年に一度しか帰省ができないという。そこに百年通えというのか?


「、わざわざ学園に通うのですか?勉強をするだけなら今の環境で事足りるはずです」


 突然のその言葉に動揺しているのだろう。微かに声が震えてしまった。

 今まで父や家庭教師に勉強を教わり、それなりの成績を出してきた俺にとって、学園に通うというのは未知の領域だ。しかもそこには悪魔がいる。父と魔王による会合に居合わせて思ったのだが、俺は悪魔が苦手だ。その時魔王が連れていた悪魔の貴族が性悪だったこともあるかもしれない。魔王自体は良い悪魔だったように思う。たぶん、だけれど。

 言いにくそうに沈黙を守っていた父は、長く美しい銀髪をなびかせて言った。


「…前々からこの話はでていたんだ。守山公はわかるね?彼が言うんだ。“未来の大天使だというのに、ゼンさまの交友関係は狭すぎます。あれでは視野が狭まり、いずれ彼がおさめなくてはならない天界の未来に影響するでしょう。ですので手っ取り早く学園に通わせ、ゼンさまのお心をもっと豊かにしなければなりません”とね。しかも、空峰のものや葵のものからも似たような話しがあったんだ。あと百年たったら君は成人だ。本格的にわたしの補佐として働かなければならない。自由な時間がなくなってしまうよね。だから成人するまでのこの貴重な時間を、どうせなら身になることに費やしてもらおうと思ってね。わたしが君と離れるのが嫌だとしぶったせいでこんな時期になってしまったんだ。…すまないね」


 父はそういって頭を下げる。俺はめったにないその行為に仰天して、少し早口ながらも言う。

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