君を追い掛ける19
ほのぼのと雑談を始めた三人はひとまず放置するらしく、俺だけ椅子を進められた。言ったのはきびきびした話し方の先輩。ってことは彼が紺野親衛隊隊長の石川先輩かな。先輩はちょっぴり疲れたような表情だった。
「ああ、関わらないと決めたの、」
「でさあ、聖宮善。単刀直入にきくけど、なんで呼び出されたか理解してるっ?」
「……さえぎられた…」
「これで理解してなかったらただの馬鹿だよね〜。親衛隊がどういう集団か知ってるでしょ〜?」
詰め寄ってくる二人、肩を落とす一人。なんか石川先輩が不憫っていう意味がわかった。これは、…うん。かわいそうかも。
何にせよ今は質問に答えよう。加賀谷先輩の見下した言い方をあえて気にしないようにしながら、俺は口を開いた。
「生徒会会員と近付くなって言いたいんですよね?おれ――僕みたいな外見が下級の天使と関わって欲しくないんでしょう?」
「せいか〜いっ。まあこれくらいはわかっててもらわなきゃ困るんだけどね〜。というわけで、これからは生徒会の方々に話しかけるのを止めてくれない?」
「ちなみに、ちさちゃんはあえて疑問系で聞いてるけど、ぼくたちはイエスしか受け付けないからっ」
言いながら、薄い胸を自信満々に押し出す仁科先輩。そういわれても、と俺は苦笑を返すしかない。
「…申し訳ないんですけど、僕からは返答しかねます。というか生徒会会員たちに直接言ってくださいませんか?事務的な用事以外、自分から話しかけにいったことはありませんので」
「!……っ、明らか自慢してないっ?生徒会の方々から話しかけられる重大性、理解してるのっ?」
「…はあ。これはただの天然でしょ〜。気づかずに敵をどんどん煽るタイプなんじゃない?」
「いや、今のは自慢じゃないだろう。彼から悪意や不遜はかけらも感じられなかったが」
「だから天然なんだって〜。もうひこっち鈍いなあ」
俺そっちのけで展開される会話についていけなかった。天然だの不遜だの、俺はどう反応すればいいんですかね。というか小声のつもりなんでしょうけどばっちりきこえてますよ、先輩方!
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