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捧げもの
大切だから 朱雀様へ相互記念 6927






「あら、ごめんなさいね〜。今つっくん風邪引いてて、誰にも会いたくないって……」



恋人の僕にもですか??


勿論綱吉くんのお母さんの前ではそんな事は言えず
その場は綱吉くんの友達として

「そうですか……。それではお大事にと伝えておいて下さい」

と当たり障りのない台詞を言った












「さて、窓から。という事になりますか」

笑顔で玄関のドアを閉めてから
カーテンで遮られた二階の窓を仰ぐ


きっと綱吉くんは僕に会いたがっているのでしょう
もしかしたら泣いてしまっているかもしれません



そんな事を考えながら、屋根にトンッと靴音を響かせた



「綱吉くん、僕ですよ。入りますね??」

返事はなかったが、相当具合が悪いのだと解釈してガラリと窓を開けた


外から入ってくる風によって
カーテンが靡く




その隙間から覗いた綱吉くんの顔はーーー


熱に浮かされ、朦朧とした意識の中でぼんやりと僕に視線を合わせていた


「む……くろ……?」


潤んだ瞳が必死に僕を確認する



こんなに酷い状態だったとは


慌てて部屋に降り立つ





「大丈夫ですか!?こんなに顔を赤く……」



ペチリ











全て言い終わらないうちに
綱吉くんは弱々しく布団から手を伸ばし
僕の頬を叩いたーーーというよりは触れたに近いが




頬に綱吉くんの熱が伝わってくる
恐ろしく熱い






「来ちゃ……だ……めって……言ったの…に……!!」

今にも泣き出しそうな顔で
ペチペチと僕を叩く綱吉くん



意味がわからず、ただただ
「どうしてですか??」
と繰り返す僕に

綱吉くんは今にも消え入りそうな声で



「だって……むく…ろの事……す…き……だか…ら」

と言った



君はどこまで人間臭いのでしょう



本当は看病してもらいたいくせに
恋人に風邪を移したくないと、必死にやせ我慢をする







「天下のボンゴレ十代目が聞いて呆れますね」


ささやかな綱吉くんの抵抗をかわし
その熱い手を包む


「どうですか?僕の手は冷たいでしょう??」

そう尋ねると

ただ首を縦に振る






僕を誰だと思っているのです??



君のように風邪に掛かるなんてヘマはしません



だから、お願いです

君がすっかり良くなるまで
どうかそばにいさせて下さい








安心したのか
眠りについた君に囁く


聞いているのか
それともただの寝言なのか



「う……ん…」

と言った君は

僕だけが看病できる、天下のボンゴレ十代目



兼最愛の人






 



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