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捧げもの
赤い糸 朱雀様へ キリリク182769

【三つ巴 切ない&甘め】


「……またですか?」


目の前に僕よりも小さく華奢な体が申し訳なさそうにぽつんと立っている

「ごめん……。いつもワガママで……」


いつも−−−−
それはこの少年、綱吉君が雲雀恭弥と付き合いはじめて間もなく経った頃からだった


「雲雀さんは風紀の仕事で忙しいんだよ」

そう自分に言い聞かせるように繰り返し呟く綱吉君の顔は
いつも壊れてしまいそうで
いつも抱きしめてしまいたくて


いつも届かなかった



「僕じゃ、ダメですか??」

何度も飲み込んだ言葉に綱吉君は気づいていないだろう
どうして素っ気ない態度をとられても
めったに笑いかけてくれなくても

綱吉君は雲雀恭弥を見ていられるのでしょう
こんなにも君を愛している僕がいるのに


「ねえ、骸はどう思う?やっぱり雲雀さんは俺の事嫌いなのかな?」

「何故です?雲雀恭弥は風紀の仕事の時以外はかまってくれるんでしょう?」

「でも、何となく距離を感じるんだ……」


どうして気がつかないのでしょうか
雲雀恭弥は君を愛していると
君に触れる事にまだ不安を抱いているから、素っ気ない態度をとるのだと

いっそ言ってしまおうか
大丈夫、君はちゃんと愛されていますよと

いや、それとも
やはり君は嫌われているみたいです。そんな奴とは別れて僕にしませんか??とでも言おうか

そうすれば、飴細工のように繊細で美しくほのかに甘い可憐な君を泣かせてしまうだろうけれど


いつもいつも愚痴っぽくなってしまってごめんねと、僕のもとを去ろうとする君を引き留める為に抱き寄せた


「毎日毎日同じ話は聞き飽きました。そんな思いをするなら……」

僕を選べばいい


どうしても言えなかった

あの男の香りがしたから
僕の大好きな人から大嫌いな人の香りがしたから


「む……くろ…?」
戸惑いを隠せない君の頬を思いきりつねった

「聞き飽きましたから……、今度はノロケ話の一つでもして下さい」

「え!?う、うん!!本当にありがとう。今度は勇気を出して雲雀さんにかまって欲しいって言ってみるよ!!」



あなたといる程、僕は嘘つきになる
あなたが笑う程、僕は堪らなくなる


いつ、君は僕の赤い糸に気づいてくれますか?


****


「雲雀……さん、あの風紀の仕事、忙しいですよね…。でも今日は……一緒に帰りませんか?」

震えている肩

君に触れるのはまだ少し照れくさくて、つい仕事にかまけているふりをしていたけれど、もう終わりにしようか


「……じゃあこの仕事が片付くまでちょっと待ってて」

「……はいっ!!」


僕と付き合っているのに何故かあの奇術使いの香りがほのかにする君を、僕の一方的な思いでつなぎ止めておくのはやはり良くないと思って今まで何も言わなかったけれど、それでも僕のところに戻って来てくれた事が嬉しくて
柄じゃないけどニコニコとこっちを見ている君のおでこに

チュッと口づける



「ふぎゃっ……!!ひ、雲雀さん!?」

素っ頓狂な声を出す君も
顔が林檎みたいに赤くなる君も

みんな僕の大好きな君だから


「これからは、ちゃんと向き合うよ。自分の気持ちにも君の気持ちにも」


やっと手に入れた
赤い糸の終着点は君だから


 



あきゅろす。
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