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捧げもの
call 1827 asa様へ



俺が十年後の世界にやって来たのはもう一週間以上も前のこと

それはつまり、十年前の俺が一週間以上も学校を休んでいるということで、必然的に一週間以上雲雀さんに逢っていないということを意味している



「………逢いたいな、雲雀さん」

十年前の雲雀さんは今頃何をしているんだろう
ちょっとは俺の事、心配してくれたりするのかな

修行を終えてベッドに横になるといつも頭をかすめる同じ考え−−−




声が、聴きたい


すっかり大人のものとなった十年後の雲雀さんの声は何でも分かっているような自信を帯びた素敵な低音だけど、やっぱり、まだ子供の俺には勝ち気な風紀委員長の心地よいアルトが恋しい


逢いたい

雲雀さんの声が聴きたい

またいつものように沢山の「好き」を言葉に乗せて、シャワーのように浴びせて欲しい


「よし…………!!」


決心をした俺の携帯の画面は思い人の電話番号を映していた




……8、9、10……

発信中を告げるコール数の間隔の二倍の速さの鼓動がする

やはり未来から過去に電話など、無理な話なのか

コール数を15数えた時に諦めて携帯から耳を離した




「……よし……??」

閉じかけた携帯電話から確かに聴こえたアルト

それは確かに−−−
「……雲雀さんっ!!」

十年前の、貴方のもの


未来から電話なんて突拍子もないことを雲雀さんが信じてくれるなんて思ってない。だから、携帯が壊れるかと思う程受話器越しに怒られた後、一言だけ

「すみません。でも俺、十年後の一秒も……その間の何億何千万秒も、ずっと雲雀さんの事……好きです」

そう伝えた

「何言ってるの??」と、チンプンカンプンだというような声の雲雀さんが可笑しくて、それからもっと受話器越しの貴方に逢いたくなった



「あまり困らせないでよ」

いきなり後ろから携帯を取り上げられいとも簡単に会話は終了させられた

「わっ……!!ちょっと、今……って、雲雀さん!?」

今まで話していた人の十年後の大人びた姿がそこにはあった

「君からのこの電話で、僕がどれほど頭を悩ませた事か……。しかも電話が通じたのはこの一回きり。本当、困るね」

涼しい顔でパタンと携帯を閉じる浴衣姿の雲雀さんはやはり全てを知っているようで

成長した声で答えてくれたんだ








「やっと分かったよ。僕も十年前から一秒ごとに君に恋してた」








**asa様へ**
お話ししていた甘甘にはならずこれまた私が一方的に語っていた遠距離ネタにしてしまい、申し訳ないです!!
苦情、罵声は甘んじて受けますので!!←

 



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