捧げもの
懐古と目覚め*11000キリリク 朱雀様へ 1827
せわしなく動く触り心地の良さそうな髪に、思わず手を伸ばしたのがつい昨日の事のように思われる
最初、君の瞳は恐怖の色が濃く、僕を見ても体を震わせるだけだったけれど、今となっては僕の肩に寄りかかってスヤスヤと寝息をたてるまでになった
そうなることを望んでいたくせに思わず笑ってしまう
君がこの学校に入学して来て
僕と出逢って
同性同士なのにも関わらず惹かれあって
それが「恋」だと知って……
「どうして、俺なんですか!?」と、僕の思いが君を困惑させた事もあった
でも「俺も、雲雀さんじゃなきゃ駄目です」って、君は真っ直ぐな目で応えてくれたよね
こんな事が重なる確率なんて、一体どれくらいなんだと思う?
途方もない数字の組み合わせの中のたった一つ−−−それを選んだんだよ、僕達二人は
「ねえ君は僕の事、素っ気ないなんて言うけれど、何かの間違いじゃない?」
相変わらず夢の世界にいる君を起こさないようにそっと声をかける
だってそうでしょう?いつも君を起こすのは−−−
チュ
「ん……、雲雀さん?」
「やあ、おはよう。随分なアホ面だったよ」
「うっ……、もう!もう少し俺の事思ってくれてもいいんじゃないですか!?」
「聞こえないな」
「…………っ、雲雀さんっ!!」
僕の「好き」の気持ちなんだから
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