捧げもの
未来予想 神流様へ キリリク 1827
「うーん……」
すごく、すごく困った
俺が応接室のソファーの上で頭を抱えている訳。それは、無謀な宿題が原因だ
「自分の将来の夢」
なんともアバウトなお題だが、それ故に難しい
家に帰れば家庭教師にボンゴレ十代目と無理矢理書かされるだろうし、かといってその押し付けに対抗できるくらいはっきりとした将来の夢というのも持っていない
勉強も性格も何もかもが中途半端
そんな自分の未来など、輝かしいものではないだろうという事だけは自分でも容易に想像できる
それがまた悲しいところなのだが
とりあえず雲雀さんなら何とかしてくれそうだという安易な考えで応接室に来てみたものの、頼みの綱であった雲雀さんは不在でいよいよ追い詰められているという訳だ
「自分の事は自分で決めるしかないってのは分かってるんだけど……」
今過ごしている時間に一生懸命で、先の事など考えられない
雲雀さんと恋に落ちて
大好きだといっぱい伝えて
頭をくしゃくしゃとなでてもらって
一緒の時間を重ねて−−−
そんな雲雀さんとの日常さえも何時かは遠い過去になるなんて想像できない
「やっぱり、ずっと変わらないなんて、できない事なのかな……」
永遠なんて、存在しないものなの−−−?
それが俺と雲雀さんでも
「綱吉、来てたの」
そんなことを考えていた時、雲雀さんが部屋に帰ってきた。雲雀さんの顔を見ると今まで考えていたことが噴き出して涙となって表に現れる
「ちょっと……!!どうしたの、綱吉!」
いきなりの事に慌てる雲雀さん。差し出されたハンカチで涙を拭うけれど、「大丈夫?」と頭をなでられると後から後からそれは溢れてきた
「まったく、馬鹿だね君は」
やっと気持ちが落ち着いたところで雲雀さんにこうなるに至った経緯を話すと、そんな言葉が返ってきた
「大体、将来の夢っていう題でどうして僕との別れ話になるのかさっぱりわからないんだけど」
苦笑しながらそう言う雲雀さんを見ていると、いつかはさようならをするときが……なんて考えていた自分が馬鹿らしく思えてきた
「君には夢とか希望とかそういうのはないの??なにも総理大臣とか壮大なことを書けって言ってる訳じゃないんだし」
優しく諭す雲雀さんはまるで小学校の教師のようで−−−
「……見つけました!!将来の夢!」
「そう、それは良かった」
カリカリとペンを走らせる俺に近づいてくる雲雀さん
「忘れないでね、将来も僕の恋人っていう未来も」
この人にはたぶん、いいや絶対「永遠」に夢中になる
その日おれは宿題を終わらせた
俺の将来の夢、それは
「優しい家庭教師について強くなること。」
思いがけずその夢が実現するなんて、このときは知るよしもなかったけれど
神月様、この度はリクエストありがとうございました^^
甘めとのリクエストを守れているかは謎ですが←
楽しんでいただければ幸いです*^^*
管理人 輝
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