捧げもの
もっと、6927 フリー!
「先輩、これ……」
「今日はホワイトデーですよ?どうして女性のあなたが僕に?」
「バレンタインデーの時に勇気が出なくて……!!だ、だから受け取って下さい!!」
3月14日
端正な顔立ちの少年は、同じ学校に通う年下の女子から気持ちを伝えられた
一瞬驚いたものの、そこはイタリアの伊達男。すぐに笑顔を作る
「ありがとうございます、喜んで頂きます……」
「くそっ!!!」
茂みの中から俺は思わず悪態をついた
いつも「綱吉くん、愛してます〜」とかよくもまあそんな甘い言葉が出てくるなと言いたいほどのクサい台詞を吐くくせに、いざ勇気を出して骸のところにやって来てみるとこのザマだ
「そういう子、いるんじゃん……」
知らず知らずのうちに負け惜しみのような言葉が俺の口をつく
不器用なりに頑張ったつもりだ。確かにみてくれは良くないが、味はいい……はずだ
誰に渡すの?と奈々に冷やかされながら教えてもらったガトーショコラ。「チョコレートは大好きですから!」と分かりやすいアピールをしてきた骸の要望に応えるために
「ばかむくろ……!!う……浮気もの……っ!!」
ガサッ
「そんなに大きな声を出して、隠れているつもりですか?」
端正な顔立ちの少年−−−先ほど同じ学校の女子に告白されていた少年がこちらを見下ろしている
「うわっ……!!」
いきなり話し掛けられたことに驚き間抜けな声が出てしまった
「クフ、こんなところで葉っぱをつけながら盗み聞きですか?」
そう言いながら俺の頭についた葉っぱを取る
本当にズルい奴
そんなに優しいから、女の子はみんな夢中になっちゃうんだ
「どうせ聞くなら最後まで聞いて欲しかったですね」
「え?」
「僕はちゃんと言いましたよ?あなたからの贈り物は頂けても気持ちは頂けないし、返せないと」
そんなの、ルール違反だ
「おやおや、綱吉くんは僕に嫉妬ですか?」
「…………!!」
伊達男にガトーショコラの入った箱を突きつける
それから言ってやるんだ
「もっと……、嫉妬させるぐらい……好きにならせてよ……!!」
3月中フリーになります
世の中も綱もたまには思い通りにならない事もあるんですよ、骸さんという気持ちを込めて書いた6927でした
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!