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あの時をつないで。
6



僕と蔦は、仲良しだった。あの日以来いつもではないけれど
蔦は自分を気に掛けてくれた。

『絵描こっか?』
『泥団子はね、うまく固まらなくて大変でね…―』

色んな話をしてくれて、毎日楽しかった。
もちろん。勉強も怠らずにきちんと英語や数学をしていた。
たまに、蔦も手伝ってくれて
そのときが英語を見るのがはじめてだと蔦は言っていたが、自分よりも蔦の方が出来ていた。

『すごいね。頭がいいんだ』

『え?そうかな。親がべんきょうしろっていうからさ〜』

やっぱり蔦もその頃から勉強を強いられていたんだと思う。

前よりも明るい印象は消えて、少し陰を持つようになっていた。
気になってはいたけれど、明るく笑うから
僕は蔦になにも出来なかった。



帰りの支度を、蔦と一緒にしていた。
丁度、両親が迎えにくる

久しぶりだった。執事やメイドが迎えにこないなんて
なんだか嬉しくて言ってしまったんだ…


『ママ、パパ。ともだちの、こんの つたう。すごく優しいんだよ』

解っていた。
両親の、世間体を気にした作り笑顔。
けれどその作り笑顔は、瞬時に消えた。

『うちの子に離れてっ!汚いわっ』

なに?

『いいか。お前は紺野家の子息なんかに近づいてはダメだ。わかるな?不幸になるんだぞ』



両親が言った。
ともだちの蔦がいる前で…

他にも、何か暴言を言っていた。けれど聞こえない
聞きたくない


どうして……!


友達なのに。蔦は優しいのに。
家柄?なにそれ
僕はなんなの

なんなんだよ……!

嫌な悪夢だ。こんなのおかしいのに
庇うことも、しなかった。
隣で辛そうな顔をしていたのに
ただ呆然と、立ち尽くした。
父に腕を掴まれてその日、僕は蔦と

友達じゃなくなった。



「っ………」

いつの間にか眠っていたらしい。
冷たい床が、自分の居る場所だけ少し暖かい。

久しぶりに見た


蔦はそれからよそよそしくなってしまい…今じゃ両家の間に、僕と蔦で亀裂がはいっている。



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