想いは紅に染まり、 └(藍→海/藍染独白) ―――雪の中で凛として咲く、寒椿の深い紅色。 それはまるで、ぽつんと染みた血のようで。 ―――その時から、何よりも一番好きな花になった。 【想いは紅に染まり、】 ―――最初に彼を見た時の印象は、明るく幸せそうな人。…自分とはどの様な意味においてもまるで関係の無い場所で笑っているのだろうと思っていた。 事実、実際に親しく話すようになったのはかなり後の事だったのだから、間違いでは無かったのだろう。 噂で聞いていたあれこれ(例えば志波家の事とか)を知って、その笑顔の裏にどれだけの苦労があったのだろうと推測する事は出来たけれども、彼の印象自体は変わる事が無かった。 ―――いつも幸せそうな、ひと。 *** 「―――君は、とても強い人だね」 「………?」 「何があろうとも全てを飲み込んで笑って居られる。…それは、とても難しい事だと思うよ」 ある日、ふとそう言ってみた事がある。ぽつりと漏れただけの言葉。そこに深い意味なんて無かったけど。 「―――そんなこと、ねえっすよ…………」 そう言って笑う彼に何かを感じたような気がしたのは、果たして気のせいだったのか。 「…俺は、結構ヒドい男っすよ……」 その言葉に意味はあったのか。 それでも、その言葉を聞いた時に思い浮かんだ椿の赤い色と、彼の笑顔だけは何時までも心の隅に焼き付いていた。 ―――椿の花言葉は、"冷ややかな美しさ"。それを聞いた時、何故か彼を思い出した。 …冷ややかさとは無縁のはずの、彼を。 何気なく言葉を交わしただけの、あの瞬間を。 【何時しか深紅の花弁を綻ばせる】 □□□□□□□□□□□□□□ ・1月.想紅 ・ただひたすらに海燕に惹かれてやまない藍染を書きたかっただけ。 ・そしてなにやら乙女な藍染(笑) ・当初の予定ではもちょっとドシリアスな赤ーいイメージの話にするつもりだったはずが何がどうしてこうなった。 ← [戻る] |