埃+日
―――プルル、プルル
『あ、もしもしグプタさんですか?お久しぶりです。私、本田菊です』
久しぶりに聞く、遠い国の人の声。
『最近、そちらも大変そうですがグプタさんは如何お過ごしですか?体調を悪くされてないといいんですけれど………』
わざわざ心配して電話をかけてきたのかい?
まったく、人の心配をしている場合ではないだろうに。
『……気持ちをお察しします、とは言えないほど、私には遠い出来事になってしまいましたが………』
そう、彼の国はとてもとても、平和だ。
…悪い意味で語られる事もあるくらいに。
『ですが、心配する気持ちは私とて同じです。―――しばらくはお互いに会うこともままならないでしょうが、どうぞご自愛くださいね』
もちろん、分かっているとも。
『それと、』
「―――ああ、」
『え』
「そういえば誕生日、だったね。おめでとう、菊」
『……………………な、喋っ、いえじゃなくて心配、ああもう!』
珍しく、随分と慌てているみたいだね。
目に浮かぶようだよ、菊。
『―――その、そちらもそろそろ誕生日、でしょう?当日は無理かもしれないから今の内に、と思ったんですが………まさかこのタイミングで自分が祝われるとは思ってもみませんでしたよ………』
未だ、顔を赤くしたままなのだろうか。
表情に出ない様でいて、表には出る子だから。
『……グプタさん、』
「ん?」
『お誕生日、おめでとうございます』
「君も、ね。心配してくれて、祝ってくれて、ありがとう」
『こちらこそ。―――それでは、失礼致します』
………本当に、可愛い子だよ。
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・プトさんの誕生日前、菊の誕生日後、の辺りの時間軸です。
・"大変"ってのはあっち方面のデモやらなんやらとかそんなイメージ。
・だから菊は遠い出来事って言ったのだよ←
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